一人ぼっち少女
昔々、一人ぼっちの少女がいました。
少女はいつも疑問に思っていました
(どうして私は一人ぼっちなんだろう)
と。
しかし、その疑問に答えてくれる人は誰もいません。
少女はわかっていました。
その疑問が何の意味を持たない事も、その疑問の答えも。
少女はわかっていました。
“人間”と“妖怪”が相容れることの出来ない存在だということを。
「そんなに一人が寂しいのですか?」
「!だ、誰!?」
「質問をしているのは私です。答えなさい、私の問に」
「……寂しい…一人は…一人は寂しい!」
「…ならば私と共に来なさい、全てを受け入れる×××へ誘ってさしあげますわ…」
「全てを…?」
「そう、全てを…」
「妖怪の私でも!?」
「…×××は全てを受け入れるのよ。それはそれは残酷な話ですわ」
「!」
「それでも貴女は×××へ行くことを望みますか?」
「…私はーーーー」
「紫ー、いるかー?」
「これはこれはナナシさんではありませんか」
「お、藍か、久しいな。紫はいるか?」
「紫様なら先程白玉楼に行きましたよ」
「はぁ?んだよ、幽々子のとこかよ…」
「紫様に御用でしたか?」
「ん?いや、たいした事じゃねーよ。いい酒が手に入ったから久々に一緒に呑もうと思ってな。どうせ幽々子も誘うつもりだったし白玉楼に行くとするよ。藍もどうだ?」
「すみません。まだ仕事が残っていますので今日はちょっと…」
「そうか…それは残念だな。じゃあまた今度一緒に呑もうな」
「はい!」
「じゃあな!」
「お気を付けて」
あるところに一人の少女がいました。
少女は全てを失いました。
それと同時に小さな×を手にいれました。
少女はその×を胸に抱きながらこれからも歩み続けるのです。
そう、この残酷な“幻想郷”で…