「蒼世ー。」
「なんだ。」
「出来た。」
そういった瞬間に頭を鷲掴みされる。
「痛いタイタイタイタイ!!!!」
「なめてるのかお前は。」
「本気と書いてマジと読むぐらい本気だよ蒼世さん。」
なんで私が怒られているのかと言うと…
今、蒼世がハマっている【盆栽】の手入れをしているところに呼ばれた私はお手伝いさんだ。
そこで失敗したのが運のつき。
「 苗字はどこまでも馬鹿なのか? 」
「なんだとぅ!?」
「違うのならばなんだこれは。」
蒼世の手に持たれた盆栽へと目をやる。
そこには見るも無残な盆栽の姿。
緑の部分はほぼなくなり木々が露になっている。
もともと不器用なのだからしかたがない。
それを知っていて盆栽の手入れなんぞに私を呼ぶ蒼世が悪いのだ。
「毎度なんで私があんたの手入れに呼ばれなきゃダメなの。」
「暇そうにしているのが 名前ぐらいしかいないからな。なんだ?俺の手伝いは不満か? 」
「不満。手伝い賃よこせこら。」
だったら、お前の無駄にした分の金が同じくらい…いや、むしろ足りないぐらいだろう。
そういってフフンと鼻をならせてこちらを見てくる。
本当に嫌味ったらしいやつだ。
「隊長ー。」
「あ、武田。」
「呼び捨てすんな!」
武田。と呼んではいつも怒られるが
ぶっちゃけ年が変わらないだろうよ。なんて思う。
蒼世に呼ばれてここに出入りすれば
自然と顔見知りになっていくわけで
今じゃあ紀子ちゃんとは酒飲みお友達だ。
「これハンコを頼みにきました。」
「ああ、受け取ろう。」
そういって机へと戻っていった。
「隊長ってさ。」
急に話しだす武田。
びっくりするじゃないかやめてくれ。
ただ無言で顔だけで武田の方を向ける。
「 名前をいじり倒した次の日少し期限がよく見えるのって俺だけか? 」
「今更かよ、みんな気づいてるぞあほ田。」
アホとは何だ!
なんてギャーつく叫ぶ
武田なんか無視だ無視。
「ほら。」
何時のまにか帰ってきた蒼世により静かになった。
何故かその後いつもより
いじめられ方がひどくなるのは
知らない私であった