好きだのヒトコトが
「こんちゃー。」



ガラガラという音を立てて開いた扉。




「いらっしゃいー。」



当たり前のように迎える。



「最近どうよ。」



私のことなのか店のことなのかわからないので、まあまあね。と答えておく。




「あんまり無理はすんなよ。」




そう優しい声で言ってくれた鷹峯。





「そう思うなら…ただ飲みばっかりしてないでとっととツケ払えやこらぁぁぁぁあ!」



「ちょ、おま!今のシリアスムードどこへやった。」



「シリアスもクソもないわ。あんたが金払わないおかけでこっちは迷惑してるのわかる?」




チッ!と盛大に舌打ちをしてやる。



それでも未だにシリアスがどうのこうのブツブツ言う鷹峯に今までツケで飲んできた金額を見せてやる。




「こんだけ溜まってるんすよお客さん。」




「どこのチンピラだよ。」




「うっさい。」



そう怒鳴れば、すまん。と素直に謝る。



「だからよ、今日は払いに来たんだよ。」



「え?」



「ほらよ、これで丁度だろ?」



そう言ってニカッと効果音のつきそうな笑顔で渡してきた金はたしかに丁度でなんなら少しお釣りが出る。



「ちょっと待ってお釣り持ってくるから。」



「いや、これから当分来れなくなるからよいままで迷惑掛けてきた分だ。」



「は?別に死ぬわけでもあるまいし。」



「大蛇が見つかった。」




そういった瞬間背筋がゾワッとなにかに
怯えたように震えた。





いつかは見つかるとは思っていた大蛇がこんなに早く見つかるなんて。




「まあ、死なねえよ!」



そう言って立ち上がる鷹峯を急いで引き止める。




いつかの時と思って作っていたお守り。





「これやるよ、あんたが酒飲みに来るとなんだか賑わうからね。」




「…おう。」




気がつけば鷹峯の胸に体を預け抱きしめられていた。




「また飲みに来る、約束する。」



その時には後輩も連れてくるわ。



なんていう鷹峯の明るい声が聞こえた。






「あんたみたいなバカは他にいないよ、だから絶対待ってるから。」




私も同じように鷹峯の背中に手を回す。






「 名前好きだ。」




「私も。」






そうして鷹峯は
じゃあ、行ってくる。と顔を見せずに行った。









bkm
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