「いらっしゃい、宙太郎くん。」
「こんにちはっす 名前さん! 」
俺にとってお母さんみたいな暖かさをくれる人。
おいらはにはわからない母親の暖かさを
くれた。
もちろん、天兄はお父さんでもありお母さんでもあるっす!
天兄とはちがう暖かさ。
この曇天の空を照らし
これが太陽なんすね。なんて思えるほど
名前さんの笑顔は温かい。
「今日も遊びに来てくれて嬉しいなー。」
何かを買うわけでもないのに
名前さんの家に入り浸り
たまにおやつをごちそうしてもらう。
天兄や空兄には内緒っす!!
「 名前さんは優しくて綺麗っすからね。 」
「何その理由。」
ふふふっ。
なんて笑う 名前さんは
ほんとに綺麗っす。
この時間が…この場所は
無くなるはずがないなんて思ってた
自分が馬鹿だったんす
「…災難だよね、強盗らしよ。」
「まだ、若かったのにね…。」
名前さんの家に盗人が入ったと聞いて
気づけば家を物凄い勢いでとびだしていた。
いつもは少し歩けばつく距離にあるのに
今日に限って…いや、今日はやけに遠くかんじる。
「 名前さん! 」
ボロボロの家を見て
嫌な胸騒ぎが止まらない。
「 名前さん! 」
何度叫んでも返事のない
家に不安しか感じなかった。
「 名前 さん…。 」
「あら、宙太郎くん?」
へ?なんて間抜けな声で
声のした方へと振り向けば
そこにはおいらの待ち望んでいた人が立っていた。
「 名前さん! 」
「どうしたのそんなに急いで。」
目を点にしながら聞いてくる 名前さん。
「強盗が入ったって聞いたッス!」
あぁ。なんてのんきな返事が帰ってくる。
「オイラ心配だったっす!」
かっこわるく泣きながら
名前さんに思い切り抱きついた。
「心配してくれてありがとう、でも私は大丈夫だから。」
宙太郎くんありがとうね。
なんて笑う 名前さんはほんとに綺麗だった。
後で話を聞くと 名前さんは
ほんとに強いらしくて強盗のほうがひどい怪我だったらしい…。