<作戦は計画的に/宇都宮>


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「ぎゃああああ!!!」

大変です。
なぜか、自分の住んでいる城内で危険にさらされてます。
死ぬ、確実に。これなら討たれ死んだ方が幾分いいかも。あ、やっぱ嫌かも。

ガオーッと威勢のいい虎の鳴き声にまた鳥肌がたった。怖いよばか!

「広綱様ああああっ
たすけてえええ!!」

誰だよ虎を野放しにした馬鹿は!
あと霧を発生させた奴、一発斬らせて!

バウバウと追い掛けて来る虎をチラチラ見ながら、霧の中を手探りで進む。
涙がちょちょ切れんばかりだ。戦みたいな血が、胸が、たぎる感じは微塵もないし!

広綱さまあ、囁きながらと情けなく転びそうになった体は、誰かにふわりと抱き留められた。

「苺?」
「ひっ、広綱さまあ!!」

広綱様はどうした?と笑いながら私と、何故かいい子ちゃん風に広綱様のもとへ落ち着いた虎を見て首を傾げる。

「この虎、広綱様に懐いてる…?」

広綱様にすりすりしている虎は必然的に、抱きしめられている私とも距離が近づく。怖い。

「ああ!次の戦で使おうと思ってな」

…ん?

「え、広綱様が虎を連れて…?」

「苺、驚くなよ?
これぞ、虎と霧を使った、戦わずして勝つ方法だ!」

名案!みたいな顔をして私の頭をぐしゃぐしゃ撫でる広綱様。霧もアンタかい。

「こんの…馬鹿主イイイイ!」
「うがっ!」

私は馬鹿主を殴りとばして、霧の中を走り去った。


(もうこの戦は駄目だああ)
(苺、感じずに考えろ!)
(広綱様
虎と霧で自軍が被害出まくりなんですよ!)


*
宇都宮が地方領主で一番好きです
可愛いよはあはあ

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