<ああ、今日も/宇都宮>


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「それでな、この前来た巫女が教えてくれたんだ!こいつは熊らしい!」
「あはは、よく見てください
熊に見えますか?」

ある平和な日のこと。
執務も溜まっていなかった私は、広綱様と虎と鍛練した後、ぐだぐだと喋っていた。
地面に座る広綱様と私の間で、虎がふせをして気持ち良さそうに眠っている。

「違うのか?」
「これは正真正銘、間違いなく虎です!ね?」

虎の頭を撫でてやると、スリスリと擦り寄ってきた。うん、可愛い。
広綱様は虎かあ、とつぶやきながら(多分違うこと考えてる)私のほうを見た。何か顔についてますか?と聞こうとした私を遮るように、広綱さんか勢いよく立ち上がった。

「俺は苺が好きだ
あと苺は強くて頭がいい
俺は子孫が欲しい
……よし!」

(子孫?てゆうか今さりげなく好きって…)

「苺!俺と最強の子孫を残そう!!」
「はい、広綱様!!………は?」

いつものように元気に返事してしまったけど、どうやらそう簡単に答えていい内容ではなかったことに後から気づいた。
(最強の………子孫?)

「よし、じゃあ早速!!」
「わあああっ!!」

目を輝かせた広綱様は、虎を乗り越えこちらに来ると、がしっと私の肩を掴んだ。近づいてくる顔。急展開に頭がついていかない私の口に、広綱様の唇がぎゅう、と押し付けられた。

「っ!」

何の仕打ちだ!と恥ずかしくて後ずさった私の脳に巡るのはこの先の展開。
やっぱり子作り?夜の営み?大人への階段ですか?!
(ああ、でも広綱様となら…!)

「よし、これであとは待つのみ!」
「……え」
「少しすればこいつが子を運んでくるはずだ!」

後ずさった私から離れ、広綱様は笑いながら虎をぽんぽんと叩いた。

…そうだ。広綱様が子作りの仕方なんてわかるはずがない。
ああ、何だか残念…なんて思ってない!断じて!

「ひ、広綱様…子作りの仕方は誰に聞いたんですか?」

「ん?あぁ、尼子だ!
俺の口を苺の口につければ、虎が子を作るらしい!」

(あんのクソ尼子!)

「はは…運んできてくれると…良いですね」

とんだ気苦労だ。とりあえず私は鎧をつけて…。

「広綱様、尼子狩りに行ってきます」
「よくわからないが、気をつけるんだぞ!虎、お前もついてけ!」


後日、尼子の領地内に虎に乗った女が侵入したという。


#ああ、今日も振り回された
(八つ当たりか?苺)
(うっせえ尼子
そんなに砂と接吻したいですか?)

*
サーセン\(^O^)/

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