<尼子くんの憂鬱/尼子・宇都宮/学パロ>


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がたんごとん。いつものように、電車に揺られていた夕方。
幼なじみの馬鹿1号が、目の前のポスターを見てぽつりと言葉を切り出した。


「晴久くん、広綱くん
あつうみ、って熱い海があるのかな?」

「…は?」

突如聞いたことのない地名を口にした苺に、俺は度肝をぬかれた。

「俺も思ってたぞ、それ!熱い海なんて是非入ってみたい!」

続いて馬鹿2号がそうノった。熱い海…?
ふと、目の前の旅行会社のポスターが目に入る。嫌な予感しかしねえ。

「待て、お前ら…
まさか熱海のこと言ってるのか…?」
「違う違う!ほら、これだよ!あつうみ!」
「だからそれは熱海だ!」

必死になってポスターを指差す苺も、本気で不思議そうにしている宇都宮も…やっぱり馬鹿だった。

「あたみ、って読むの?」
「そうだ」
「熱い海はあるのか?」
「ねえよ!あるのは温泉だ!
…結局熱海は知らねえのか」

「晴久くんは昔から物知りだねえ」
「お前らが馬鹿なんだよ…
よく高校入れたな」
「俺らはスポーツ特待生だからな!」
「うーん、晴久くんみたいな一般入試の人は頭いいんだね」
「ああ!さすがは一般入試だな!」
「じゃあ学力特待生は常人じゃないくらい頭いいのかなあ?
一般入試で熱海がわかるんだから!」
「そうかもしれないな…
けど一般入試もすごいな…」


「や、やめろぉぉ!お前ら!」


何だか、馬鹿にされた気がした。

#ちなみに小豆はこまめと読みます

(一般入試くんー)
(一般入試ー)
(一般入試って呼ぶんじゃねえ!)

*
熱海をあつうみと読んだのはわたしです
友人の苦笑が今でも忘れられません(キリッ

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