<穴蔵夫婦の毎日/黒田>


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むわりむわり。
蒸したような、しかしひんやりした微妙な空気の中で私は目を覚ました。

「朝…?」

暗い暗い穴蔵の中に少しだけ日が差し込んでいた。きちんと開かない目をこすりながら辺りを見渡せば、一生懸命に地図を見る官兵衛を発見。集中していて、私が起きたのにも気づかない。

「そんなに集中して、何してるのー?」
「っ苺、もう起きたのか!」
「うん、それよりなにこれ」

私の興味は官兵衛の手元の、印だらけの地図に注がれる。それをよく見ようと、私は定位置である鉄球の上から飛び降りて官兵衛の隣に寄り添った。

「小生は苺と違って知性派だからな!
天下をとるための作戦を立てているんだ」
「官兵衛だって対して知性派じゃないくせにー!」

むくれる私の頭を撫でながらも、官兵衛は地図から目を離さない。今回は本気みたいだ。いや、いつもだけれど。

「かんべ」
「何だ?」
「官兵衛がやられちゃったら、私は三成にこき使われるんだから頑張ってよね」
「小生も刑部に…ぐっ何故じゃああ!」

どこまでも鬼畜な石田軍のことを思い出すと、鳥肌が立つ位だ。まず官兵衛と私を引き離す。そしてに三成は有り得ないくらい私をこき使う。そして八つ当たりの対象にするからたまったもんじゃない。
官兵衛も刑部のことを思い出したのか、うおおおおおっと雄叫びをあげている。


「私は、官兵衛の治める国が見たいな」
「見せてやる
小生の天下はすぐそこだ!」
「よーしっ頑張ろう!」


(穴蔵夫婦の日常会話)


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かんべ超可愛いし使いやすいし
何なのあの子

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