<どちらの手?/関ヶ原組>


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「家康ーっ!三成ーっ!」

秀吉様が天下を統べた時代。
私の幸せは絶頂だった。

「おお!苺!」
「家康うーっ抱っこ!」
「ははっ、ほら!」

家康はいつも優しかった。
それこそお日様みたいで、明るくて。
うれしいときも、悲しいときも、いつも抱きしめてくれる。


「じゃあ三成は私がおぶる!」
「馬鹿か貴様は」
「いたたっ」

三成も、優しかった。
無愛想で不器用だけど、根はどこまでも素直。
例えば、怪我したときに文句をいいながらも包帯を巻いてくれたりとか。


*

「ひで、よしさま…」

戦中の爆発的な衝撃、音。
私と三成が慌てて向かった先には、倒れた秀吉様。そして信じたくはないけど、家康。

「家康…どうして?」
「苺!
儂と共に行こう
儂は絆の力で天下を統べる!」

ぐるぐる、頭のなかで色んなものが混ざる。
動かない秀吉様と、怒り狂う三成と、遠ざかっていく家康。

「秀吉様…」

久しぶりに涙が溢れた。
秀吉様の冷たい指先に触れた瞬間、家康の言葉が蘇る。

いえやす、
小さな私の声に、同じように秀吉様の骸にすがりつく三成が振り向いた。

「苺っ…!
貴様は裏切るな!何があっても私から離れるな!」

力加減なしに抱きしめられた体が痛い。三成の涙が、首に伝う。

ああ、私は-

(どうしたらいいの?)


*
この状態で三成から離れるのは難しそう

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