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「あ…つい」

障子を開けて解放していた自室には、太陽の光がさんさんと降り注いでいる。
起きたと思えば既に昼を過ぎていた。うう、不覚。
(幸村さんは鍛練してるのかな?)

久しぶりの暑さには耐えらず、私はしまってあったセーラー服を身に付けると外に出た。


いい天気。
こんな日には戦なく幸村さんとむふふふしたいな!
にしても、おかしい。
いつもはちらほらお城にいる兵の方々が誰もいない。

「おっかしいなー」

何なら幸村さんの部屋にでも行こうかと考えていると、何となく道場が騒がしいことに気づく。
もしかしてみんなで鍛練かな?
ならばと道場へ向かった。


「わあ…人がいっぱい」

案の定、道場にみんな来ていたようだ。それにしても人数が多い。
道場の入り口に溢れる、青い人達を押しのけて私は道場に入った。

「んぐ…」
「七海ちゃん?!」
「うぐう…その声は佐助さん!」

人、多っ!
熱気に満ちた人込みに流されていた私の体は、あっという間に何かに掴まれて浮上した。

「何してたの?」

佐助さんが連れてきてくれたのは、お館様が座っていたすぐ横。
もう一人、強面のオールバックさんもいる。(誰?)
見に来たら巻き込まれたことを説明した後、改めて道場を見返した。

「わあ…!」

真ん中、熱気の中心では刀をやけにいっぱい持った青い人、そして幸村さんが戦っていた。
2人の覇気は凄まじくて、瞬時に鳥肌が立っていく。
すごい…!

「幸村さああああん!
頑張ってええええ!」

隣で佐助さんが驚いたようにうろたえたのと、お館様が笑ったのが分かった。


それから1時間位たっただろうか。
2人のスタミナ切れで戦いは幕を閉じた。
武田軍と、青い人側、両方の兵の人達が道場から減っていくのを横目に私は手ぬぐいを掴んで幸村さんのもとへ。

「幸村さん!お疲れ様でした!
よく分からないけど、興奮しちゃいましたよー」
「七海殿!応援、感謝致す!」

寝そべっていた幸村さんはころりと起き上がって私から手ぬぐいを受けとった。久しぶりに犬みたいに可愛いらしい笑顔が見れて幸せだ。

「あ、七海殿!またその御召し物を!」
「バレちゃいました?」

幸村さんは、セーラー服が苦手だ。腕やお腹、何より脚が見えるのが駄目らしい。相変わらず純情だ。

「Hey,lady」

私が汗を拭きます!と幸村さんに襲い掛かっていると、今まで静かにしていた刀の多い青い人が私を見ていた。
あれ、今戦国だよね?

「あ、あいどんとすぴーくいんぐりっしゅ!」
「…!アンタ、南蛮語が分かるのか?」

南蛮語?…今でいう英語かな?
発音いいねお兄さん。

「少しなら、分かります」
「What is your name?」
「マイネームイズ、桐生七海」

流暢な言葉づかいには劣るけど、まあ伝わっただろう。
幸村さんは会話が成立しているのに感動したように目を輝かせている。

「HA!上出来だな
俺は奥州筆頭、伊達政宗だ」

これまた耳にしたことがある響き。ゆーしー?と聞かれたので、とりあえず、あいしー。


「七海、こいつは小十郎だ」

次に政宗さんは、あのオールバックの強面の人を私に紹介した。

「七海です、よろしくお願いします
政宗さん、小十郎さん」
「よろしく頼むぜ」

何とも平和な出会いを果たしました。


(にしても変わった格好だな)
(セーラー服ってゆうんですよ)


*
筆頭、出番だ!




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