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城下街は、華やかとゆうより…
賑やかで楽しそう!な印象だった。
あ、握られていた手というと、城下街に来てすぐに離れてしまった。残念すぎる。


ついつい、わくわくして体があちこちへいってしまう。
その度、幸村さんに危ないでござる!と注意された。

「…七海殿
破廉恥は承知でござるが、某の手を握っていてもらえぬか?」
「え!?いいんですか…!?」

大変です、お館さぶあああ!
緊張しながらも手汗を必死に乾かして、差し出された手を握った。

(子供体温…)

硬いけど、湿ってて温かい手。
こんなに緊張するのは、やっぱり幸村さん相手だからだろう。


それからいろいろな店を見てまわった後、幸村さんお気に入りの甘味屋さんでお茶と団子を食べた。

「(お団子おいしい)
この街は素敵ですね!」
「気に入ってもらえて良かったでござる!このように平和な街が見れるのもまたお館様のおかげ!」
「「お館さぶああああ!」」

あ、ハモった。
そんなことを考えながらお団子を食べ切った時、少し遠くの方から子供の声が聞こえてきた。泣いてるような、叫んでるような。

「っ幸村さん、すぐ戻ってきます!」
「んぐ…!?」

飲みかけのお茶を置いて、私は声の方向へ走った。


「ねこさんが、こわがってる」
「たまー!あぶない!おりて!」

どうやら泣いていたのは小さな女の子。飼い猫(子猫)が何処かの店の屋根に乗って降りれなくなっていた。
女の子に寄り添う小さな男の子も、心配そうに子猫を見ていた。

「君達、お姉さんがねこさん助けてあげる!」

2人にそう言うと、きらきら目を輝かせた。よし、やったるで!
気合いをいれて、まず屋根に手を伸ばした。
(と、届かねえ!)

低い屋根だと思ったのに、私の身長では縁に触れる位だ。
子供達の声援が痛い。

「あ、縁に手引っ掛けて屋根に登れば…」

そうと決まれば。
着物を太もものところまでたくしあげて縛り、腕まくりをしてジャンプした。
壁に足をつけて踏ん張りながら、何とか屋根の上に乗っかった。

「ねこちゃん、おいで!」

にゃー、と鳴いた猫は私を一瞥するとすらりと降りてしまった。
…降りれるんかい!

猫がひょいっと歩く先をたどると、あの子供達。そしてその先に…幸村さん。

「幸村さん!」
「七海殿…
何故そのような場所に!?」
「これには深い訳が!」

今降ります!と屋根のしたを見る。
見て、すぐさま自分の血の気がサーッと引くのが分かった。

あれ、なんか高いよ…?

「七海殿…?」
「ゆ、きむらさん…あの、ここ意外と…怖いでござるですね」
(うああああ自分ださい!)


恥ずかしくてジワリと涙ぐみかけた私の視界にはいったのは、私の方に手を伸ばしてくれている幸村さんだった。

「怖くないでござるよ
某が受け止め…っ」

言葉が終わる前に、私はその胸に向かって飛び降りていた。あれ、これじゃ私が猫みたいだ。
ぽす、と軽く受け止められる。
もちろん体勢的には抱きしめられてる訳で。

「ゆ、きむらさ…ん」
「何故、あのようなことを」

耳元で聞こえた声は、冷たかった。冷たい、というより厳しい。

「わた、しは」
「お姉ちゃん、ありがとう!」
「たま、お姉ちゃんのおかげでげんきだよ!」

絶妙なタイミング。
子供達は猫を抱えて私に手を振ると元気にかけていった。

「…猫を、助けたのでござるか?」
「屋根で、降りれなくなってて…」

ふわりと体が離れた。幸村さんは可愛い目をぱちりとさせてから、風を切るように頭を下げた。

「申し訳ないいいいい!!」
「うああ…」

零れかけていた涙が、動いたせいで頬を伝った。
幸村さんは私が泣いてるのを見て、また頭を下げる。

「女子を泣かせるなど…!
うおおおおお館様あああ」
「落ち着いて幸村さん!
ちょっとびっくりしただけですから!」


膝をついた幸村さんの隣に、着物を直してからしゃがんだ。
大丈夫ですから、と笑いかければあの手がすうっと私の目に溜まった水を拭ったもんだから、心臓止まるかと思った。

「某は、昔から女子のことはよくわからぬ…とゆうか苦手なのだ…」
「知ってます」

幸村さんが目をまるくした。
知ってますよ、ともう一度念を押す。

「誰よりも女子の扱いがへたっぴでも、私はやっぱり幸村さんが好きなんです」

へらりと笑いながら言うと、幸村さんは真っ赤になった。

「破廉恥でござる…」


(今日泣かされた代わりに、明日からお世話しまくります)

*
月9見ながらかいたら普段より甘くなった気がします
次回から伊達軍乱入編です




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