-

私は今なら風になれます。
慣れない筆と墨で、私は書き初めサイズの紙にそう書いた。
芸術!と自画自賛してみるけど、すぐに悲しくなった。
今だに幸村さんと疎遠になってるのが原因だ。ご飯の時間しか一緒に過ごせていないのは最早拷問!

佐助さんいわく、
もっとおしとやかにする事
あとは運だね(笑)
だそうです。


とゆう訳で、私は大和撫子を目指します!

いそいそと、お世辞にも上手とは言えない習字の道具にを綺麗に片して。作品は通り掛かった誰かにあげよう。
と、そんなタイミングで小山田さんが通り掛かった。

「こんにちは、小山田さあーんっ!
贈り物です!」
「…ありがとうございます、七海様」
「いえいえ!」
「それはそうと、先程幸村様が探しておられましたぞ」

…まことっすか!
小山田さんに詰め寄れば、こくりと頷く。
だったらこんな事してらんない!
私は頭を下げて、お礼をすると自室へ走った。

「着物よし、髪の毛よし…
お化粧はもともとしてないし!」

鏡で全身を確認した後、ふうと一息ついて正座をしていると障子の向こうから上擦ったような声がした。

「し、失礼!七海殿!」

スパーンッと勢いよく開けられた障子の向こうには、予想通り幸村さん。
声をかけたと同時に開けちゃ意味ないですよ、と思わず笑えば幸村さんも赤くなって苦笑した。
…う、わ!面と向かって話すの、久しぶりすぎて泣けてきた。

「七海殿…いろいろあったゆえ、あまり顔を合わせられなかったことをお詫び申す」

少しの沈黙の後、改めて幸村さんが背筋を正してそう切り出した。

「そんな…!私がおしまくったのが悪いんです!頭下げないでください!」

何だこの展開!
とりあえず頭を下げる幸村さんを説得して、何とか落ち着いてもらった。

「…佐助から聞いたでござる
七海殿が寂しがられていると…
そのような事微塵に気づけずに…
某は…それがしは…
どのように詫びたらよいのか…!」

お詫びなんていいんです、言っても今度はなかなか引いてくれない。
てゆうかこんな事言ってもられるだけで嬉しくて幸せなんですが…!

「…一つ、我が儘が許されるなら…城下街に行きたいです」
「城下街、でござるか?」
「はい、案内してほしいです」

2割冗談、8割本気。
幸村さんは犬のように表情を明るくさせて、がしりと私の手をとった。(は、破廉恥じゃないの?!)

「お安いご用!行くでござる!」
「え、今から?!
ちょ、幸村さん速い速い!」

あれ…これ、デートだ!


*
これぞ、押してダメなら引いてみろ!




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -