バレンタイン。
去年のわたしなら間違いなく友人からの義理チョコを食い荒らしている。
が、ノンノン!恋は人を変えるのだよワトソン君。

「ということでわたしに団子の作り方を教えるがよい、佐助君」
「えー、つまり七海ちゃんのいたところには“バレンタイン”という、好きな人に甘味をあげる行事があると」
「そうです!さすがオカン、理解力があって助かる!」

ということで、お察しのいい皆様なら分かると思いますが、バレンタインです。バレンタインとはいえ、さすがに戦国時代でチョコを作るなんて荒業は無理。
だからチョコの代わりに団子を作ろうと、頭のいい七海ちゃんは閃いたのです!

「んーと、じゃあ始めようか」
「ウス!!お願いしやす、師匠!」
「あはー声太いよ、七海ちゃん」


*
「じゃっじゃーん!
大量のお団子とわたしの抱擁が幸村さんをお出迎え!」
「もがっ」

どーん!なんていう擬音が似合いそうな動作で、わたしは鍛練を終えて顔を洗っていた幸村さんの口に団子を突っ込んだ。ちなみに隣にいた佐助さんはそれを見て真っ青だ。

体全体で団子を突っ込みにいったせいで、そのまま幸村さんを押し倒してしまったけれど、け、決して意図的なんかじゃないんだからね!

「ああー旦那また気絶しかけちゃってるし。大丈夫ー?」
「はれんひぃ…」

目が渦巻いてしまってる幸村さんの口から佐助さんが団子を抜いて、わたしを退かす。(舌打ちしたら怒られた)

「ということで幸村さん、大好きですよ!」
「なっ…七海殿!?何故っ、そんな突然…!」
「へへ、お団子頑張りましたから、いっぱい食べてくださいね!」

くりくりの目をまるくして赤くなる幸村さんにもう一度抱き着きながら、わたしは素敵なバレンタインに感謝した。


「旦那、顔赤いよ」
「佐助、次の給料は無しだ!」
「ちょ、理不尽な……!」


*
2月14日の日記

どうせならチョコまみれの幸村さんとか見たかった。
……やばくないですか、それ!?


*超特急バレンタイン

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むしろチョコまみれの幸村を舐めたい




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