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「それでですね、私は言ったんですよお…雑草は食べ物じゃねえ!って!」
「おい、七海」
「へへ…」
「Come Back」

それから数時間、七海はべろんべろんに酔っていた。
政宗に向かって支離滅裂な、訳の分からない話をしては笑い、笑い、笑う。これはもう駄目だと感じた政宗は、七海を抱えて立ち上がった。

「政宗様…」
「大丈夫だ、俺が運ぶ」

立ち上がりかけた小十郎に彼はそう告げ、部屋の入り口にいた侍女に声をかける。

「コイツの布団は何処だ?」
「それなら政宗様のお布団の隣にございまする」

当然とでも言うような、侍女の言葉に一瞬固まった。が、確か自分の嫁と言ったことを思い出しすぐに自室に向かった。
抱えられた七海は、うーうーと子供のように呻いている。


政宗が自室の襖を開ければ、布団が仲良くくっついて2枚。七海はそこに降ろされた。

「honeyはそこで寝な」

そして自分の分の布団を抱え、移動させようとする。が、七海がひしりと政宗の着流しを掴む。

「政宗さんもここで寝ないんですか?」
「honeyがいいなら寝るけどな」
「良いですよ」

へらへら、笑って承諾した七海に政宗は目を見開く。

「…Ok」

そして布団を戻し、自分もそこにゆっくりと腰を下ろした。


「アンタ、やっぱ真田幸村と何かあっただろ」

ぴくり、突然の政宗の切り出しに七海の肩が揺れた。数秒して、ゆっくり口を開く。

「私は…幸村さんが好きです」
「あぁ」
「でも幸村さんは、違います」

ぎゅっと布団を握りしめた七海の手は震えていた。酒によって赤くなった、俯いた横顔がどんな表情を浮かべているのか政宗には分からなかった。

「最初は幸村さん見てるだけで幸せだったのに
馬鹿ですよね、わたし…我が儘で、自分勝手です」
「…自分勝手とは思わねぇよ
俺だって七海に俺を見てもらいてぇし、今だってアンタに付け込んでる」

政宗、さん。
震える声。それは確かに涙ぐんでいた。政宗が半ば強引に顔を上げさせる。涙ぐんだその表情は、疼く彼の本能と理性を一気に崩壊させるのに十分だった。


「七海が煽ったのが悪いんだぜ?」

そして政宗はゆるやかに目の前の体を押し倒した。


*

3日前、甲斐。
幸村、竹姫は佐助を交えて幸村恋愛相談中。

「で、では七海さんは今…他の男の方のもとへ…!?」
「さらに、その男ってのが七海ちゃんに下心アリ、な可能性もあるのが問題で…」

そこまで聞いた竹姫は、勢いよく立ち上がると幸村の腕を強く引いた。姫らしかぬ行動に、男2人は目を丸くする。

「傷ついた女は心が不安定なのですよ、幸村様!
早く助けに行かないと、七海さんは食べられてしまいまする!」
「なっ…なんと…?!」
「さあ、早く!七海さんを迎えに行ってくださいませ!」

竹姫の言葉に、幸村はぐうっと拳を握り、そして。

「お館さぶああああああああ!」

奥州へ行く許可を取るべく、部屋を飛び出した。


(待っていてくだされ、七海殿!)


*
多分食べるの意味わかってない幸村




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