- とりあえず、暗くて少し寒い。 私は体育座りで丸くなりながら、静かに手に息を吹き掛けた。 まだ日暮れでもないのに寒いのは、今日が曇りだからなんだろう。 ともかく。 寒いなら布団に包まるか、七輪やらなんやらで暖まればいいのだけれど。あいにく佐助さんに、どこかで大人しくしてなさい令をだされてしまった。そして急遽、近場の部屋の押し入れに隠れたのだ。 何でも、オクラ野郎が私を探しているらしい。 あんな小さなことの仕返しにくるなんて、なんて奴! その時、どこにもぶつけようのない怒りを募らせる私の耳に聞き慣れた声と音が飛び込んできた。 どうやらそれはマイダーリン幸村さんの声、あと襖を開ける音のようだ。 何やら誰かと雑談しながら部屋に入って…って此処の部屋ですか! 「さて…真田、本題に入るぞ」 「そうでござった! して、某に聞きたい事とは?」 相手は分からないが、幸村さんは甘味を食しているようだ。 幸村さんの無邪気な振る舞いが想像できて興奮して苦しい。幸村さんは何であんなにエンジェルなんでしょう! 「武田に若い女はいるか」 「若い女子で…ござるか?」 「髪の長さはこの辺ぞ あとは…」 ひやり、と突然体中に鳥肌が立った。これは、もしかしたら、相手…オクラ野郎なんじゃないでしょうか?もしかしなくても、そうですよね! 「それなら確か女中に…」 「女中以外にはおらぬか」 「むう……あぁ!七海殿!」 幸村さんのばっきゃろぉおおお! 絶対忘れてるよね、私がこの間踏まれたこと! 「七海…」 「うむ! 七海殿は武田の赤がよく似合う、とても快活な女子にござる!」 「七海とやらを、此処に呼び出せるか? 我はそやつと話がしたい」 やっぱりオクラだああああ! てゆうか褒められた!(んだよね?)やっぱ幸村さんラブ! 「少しお待ち下され …佐助ェ!」 「…はいよ、真田の旦那」 「すまぬが、七海殿を連れてきてくれ」 心臓がどきどきする。今にも、カラッカラな口から内臓でも出そうだ。何でこんなに緊張してるのか自分でも分からないが、とりあえず嫌な予感がする! 「俺様も探してたんだけど、大将が城下街までお使い頼んだらしいよ だからしばらく帰って来ないけど…」 さっすが佐助さん!口調、さらに表情もきっと完璧に演技しているんだろう。これで安心だ、と気を緩めた刹那、空腹に耐えていた私の胃袋が情けなく鳴いた。 (やば…!) しかしかなり小さな音だ。忍である佐助さん以外には聞き取れなかった、そう私は祈る。 それから数秒後、シュッと佐助さんが去った音がした。 「元就殿、七海殿は今使いに参っているゆえ…」 スパァンッ! 「「「?!」」」 突如として開いた、押し入れの襖。そして私が目にしたのは、大魔王のように意地悪に笑う緑のオクラ野郎だった。 見 つ か っ た ! (ぎぃやあああああああ!) (逃がさぬ) * 州゚Д゚)踏ませろ Ψ`∀´仲良しでござるな! =きっとこんな未来が待ってる 記念すべき20回にずっと押し入れなヒロインちゃん…(泣) |