- 真田幸村率いる、四国へ使いをしていた兵達。 もう城はすぐそこだ、という中で小山田信茂は違和感を覚えていた。 (七海様…妙に静かでございますな) 先刻まで“幸村はおでの嫁やねんでぇぇええ”と耳元で発狂していた七海であったが、今はまるで別人のように静かだ。城はすぐそことはいえ馬を止めて確認したほうがいいかと考えていると、後ろから弱々しい声が聞こえた。 「幸村さん…は、俺の…よ、め」 「お館様あああああああ 幸村、ただいま帰りましたぁあああ」 七海の声は、幸村の張り上げた声によって掻き消された。 * 頭が痛くて、寒気がする。ついでにいうとふらふらする。 そんな体調の悪さは朝から感じていたのだけれど、優しくてプリティーな幸村さんに言ったら心配するだろうからテンションをMAXにして頑張った。けどもう限界は近い。 何だか心配そうにこちらを伺う小山田さんに馬から降ろしてもらった私は、朦朧とする意識の中で幸村さんと殴り愛を終えたお館様の胸に飛び込んだ。 「七海!よく帰っ…」 「おやかたさま…」 「どうかなされましたか、お館様!?」 ああ、お館様の体かたくて大きくて気持ちいい。なんてぬくぬくとその体を味わっていたとき、まるで烈火の如くお館様が声を張り上げた。 「佐助ぇええええええ」 「はいよ、大将」 「七海を寝室に運んで寝かせて、すぐに医者を呼ぶのだ」 「…?了解っと!? あーあー七海ちゃん、凄い熱」 「なんと!七海殿!?」 佐助さんに抱き抱えられる。そういえば何日か先に帰ってたんだよねえ佐助さん。てゆうか私、熱あったんだ。 何が何だか分からないけど、佐助さんが走る感覚と、幸村さんの愛しい大声だけは理解できた。 「申し訳ございませぬぅぅぅ 七海殿おおおぉおお!」 (直後、私の意識はぶっ飛んだ) * 案外続きものに…! |