- 「温泉ーっ」 数十分くらい船に揺られたどり着いたのは今の日本で有名な温泉らしい。そんなこと言われたらテンション上がりまくりな訳で! 「では幸村さん、チカリンさん また会いましょう!」 「うむ!楽しんできましょうぞ!」 * (本格的な温泉なんて久しぶりだなあ) 女湯には幸運なことに人がいない。隣の男湯の騒がしさ、とゆうか幸村さんの声にだけ耳を傾けゆっくりと堪能した。 「あーっ気持ち良かった」 待ち合わせの場所に行くと、まだ誰も居ない。のぼせるからと早く出過ぎたみたいだ。 「しょうがない、待っ…わっ!」 突然どんっと、左肩に何かぶつかった。その衝撃に尻餅をついた私は、その何かを見ようと視線を上にやった。 「邪魔ぞ」 端正な顔立ちの男。 緑の服と特徴的な兜に思わず目がいく。 だがしかし、ふっと意識がもどると沸き上がる怒り。 「邪魔って…ぶつかったあなたも悪いじゃないですか!幸村さんなら心配してくれましたもん!へっ!オクラみたいな頭して!」 「…貴様」 「何ですか…っいたたたた!」 オクラさんは私の発言が気に入らなかったらしい。ニヤリと嫌な笑みを微かに浮かべた後、私を地面に転がして背中に足をのせやがった。意味わかんない。 「我は今機嫌が悪い 小娘、身の程をわきまえろ」 「つまり腹いせに踏んでるんですよね!?畜生うう離せええ!」 背中をぐりぐり踏まれ、刺すような痛み。ちょ、靴!ピンヒール?! 「七海ちゃん!?」 涙目の私を見てさぞ嬉しそうに足を動かし続けるオクラ頭。そして私を救ったのは佐助さんだった。 「アンタは…まさか中国の」 「毛利ィ!何してやがる!」 続いてチカリンさん、幸村さんと出てきた面々。 毛利?さんはようやく私から足をどけチカリンさんを見た。その隙に私は幸村さんの胸へ。 「幸村さああああん」 「七海殿!お怪我は!?」 「背中が痛いいいうあああ! 幸村さんが舐めてくれないと治らないいい!」 「はいはい、そんだけ元気なら大丈夫ね」 今回ばかりは抱き着いても逃げられなかった。控え目に頭を撫でてくれる幸村さんマジ天使。 「我には貴様の相手をしている暇などない」 「毛利!待ちやがれ!」 早々と去るオクラ頭。私は幸村さんに抱きしめてもらったまま、あっかんべーしてやった。 「くたばれオクラ頭!」 「七海ちゃんは喧嘩売らない!」 「小娘…覚えておけ」 * 毛利様ご乱心 |