- 「ぅぅうみだああああ!!」 甲斐を出発して数日。 慣れない乗馬でお尻が泣いたり、レディなのに野宿したり、山賊に襲われたり。 とりあえずいろいろあったのだけど、ようやく四国にたどり着いた。 こんにちは、瀬戸内海! ちなみに私は小山田さんの後ろに乗せてもらっていて、乗馬に集中しなくて大丈夫なので海が見放題だ。 「小山田さん!海ですよ!」 「七海様…っ首が…!」 感動で思わず小山田さんの首を締め上げるくらい抱き着いてしまう。海ですよ皆さん! * それから数時間、打って変わって私は船を見上げていた。 まさか船とは予想外! 「たのもー! お館様の使いで参った、真田源二郎幸村でござる!」 「その将来の嫁、七海でござるうう!」 「っ七海殿!?」 「はいはい、七海ちゃんは大人しくしててねー」 すぐに、船の高い所にいたお兄さんから返事があって上がらせてもらえることに。 船の上はいっぱい兵の人がいたり、でかい鉄の筒があったりと目を奪われるものばかり。 そして私は佐助さんにその辺に縛り付けられ、幸村さんが大将っぽい人と話を進めてるのを遠目に見ることしかできていない。 「ゆ、幸村さああああん お話終わったら七海めをお助けくださああ、あ、案外とれた」 ちぎれた縄をその辺に投げてから揺れる船の上、幸村さんのもとへ走り抱き着いた。 「お話終わりました?」 「七海殿…っ 某、お館様からの命を無事に果たしましたぞ!」 私のスキンシップにはもう慣れたのか、幸村さんは叫ぶ確率が低くなった。 それを見ていた大将(仮)は驚いたように目を見開いてから、私の頭に大きな手を乗せた。 「お嬢ちゃん、真田の妹か? それとも甲斐の虎の娘…」 「違いますううう! ふざけたこと言うと乳首突きますよ!」 「こら!失礼だし、女の子がはしたないこと言わない!」 大いなる勘違いをした大将(乳首)を睨むと佐助さんにバシッと叩かれた。さらに幸村さんからも引きはがされて良いことなし。さすがは鬼畜オカン! 「はっはっは! こりゃ元気な嬢ちゃんだ! 名前は何てんだ?」 「…七海です」 「七海、俺は長曽我部元親だ!」 (…ん、んと?) 今なんていったこの人。難しい名前してるなあ。 「あの、ちょもちかさん」 「長曽我部元親だ 元親でいい」 「チカリンさん」 「おう」 「海で泳ぎたいです!」 (別にいいけどよ…着物じゃ無理じゃねえか?) (はっ!気づかなかった!) * 中学の教科書にもちゃんと長曽我部さんがのってます^^ |