- 「うわあああっ! 伊達!伊達、眼鏡かっこいいね!」 整った顔立ちと、スタイルの良い長身体型。クラス、むしろ学年問わず女子から絶大な人気を誇っていた伊達政宗は、ある少女に片思いをしていた。 「ahー…、何だよ突然」 容姿端麗な伊達政宗が片思いする相手はは、絶大な美少女という訳でもなく。いたって普通、しいて言えば鈍感な少女である。 「え?いや、だってかっこいいじゃん」 いつもは伊達を褒めるとしたら、せいぜい“伊達かっこいーね”とか“伊達すごいー”とか言って緩く笑うくらいだ。 だが今日は食いつき方から違う。 先日の視力検査で視力が落ち、たまたま注文していた眼鏡が出来上がり、今日かけてきた。 そして彼女はこれでもかという位眼鏡に食いついた。 「私、別に眼鏡フェチとかじゃないけど、何かすごい好き!伊達って眼鏡超似合うんだね」 早速眼鏡に気づいて寄って来ようとしていた彼の取り巻きも、彼女の勢い、というか2人の雰囲気にぐっと押し黙る。 「honeyはそんなに俺の眼鏡がツボか?」 「うん!伊達は元が良いから尚更だよ」 可愛い声で肯定しながら浮かべられた笑顔に、政宗は珍しく照れたようにそっぽを向いた。 「ていうか伊達って、私と話すとき目合わせないよねー。あと名前で呼ばずに、ほ、ほにー?って呼ぶし」 「honeyだ」 「うん、それ。そいでまた、目も合わせないし」 バレバレな政宗の態度から事情を知っているクラスメイトが、ゴクリと唾を飲む中。 少女はさらに追い討ちをかけるかのように政宗と距離を詰めた。 「もしかしたらもしかして、伊達は私が嫌いなの?」 政宗は初めて、想い人としっかり目を合わせた気がした。 「…No、嫌いじゃねぇよ」 このヘタレが。 周りの心境はその時バッチリ揃い、政宗自身も後悔の念に襲われたが―。 「良かった!」 惚れた女の笑顔一つですっかり気が晴れてしまうのだから、男…というか自分は単純だなあ、と政宗は頭を掻きながらため息を吐いた。 拍手お礼でした |