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賑わう街中。
帰宅中の男子高校生に、あとを追う女子高生。

「元就先輩!」
「…」
「元就先輩ったら!」
「…」
「せーんぱいいいいいい!」
「…」

煩わしい、何とも煩わしい。
この数日間後ろをついてくる名前も知らない女を睨みつけて元就はいらついた感情を募らせていた。

「せんぱ…おっと!」

たまらず元就は立ち止まる。
今まで後をついてた女は、ぶつかる寸前で自分にブレーキをかけた。

「どうしました?
お腹痛いですか?」
「そんなことある訳なかろう
我は毛利の子よ」
「変なこと言いますね」

イラッと、思わず表情に出す元就を1ミクロンも気にする様子なく女は当然のように不思議がった。
眉間にシワ寄ってますよーとカラカラ笑う女はあまりにも無神経な気がした。

「…我に付き纏って、何のつもりだ」
「お友達になりましょうよ、先輩」
「無駄な馴れ合いは不必要ぞ」

差し出してきた手を一瞥して言えば、女が柄にもなく一瞬悲しそうに目をふせる。
しかし元就が僅かに目を細めた時には、女は諦めないですよ、と笑う。
返事をせずに元就が歩きだした時。


「ちょっと、離してください!」
「いーじゃん少し位」
「嫌です!」

数人の男に囲まれる先程の影。

訳のわからない女だ。
煩わしい女だ。
名前も知らない女だ。

「っ」

(何故我が)

「その女を離せ」

(こんなことを)

「元就先輩」


逃げていく男を見送りながら、元就は女に尋ねた。

「貴様の名を教えろ」

女は、目を輝かせて答えた。

「青山心です!」



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曖昧なお話がすきです^P^
名前呼ばれてない悲劇




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