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#ヒロインがオタク


「返してえっ!」
「Ah?アンタがこれ止めるっつうまで絶対に返さねぇよ」
「ひどい!」

真昼間、男女2人の大声が響いているのは小さな部屋だった。

ピンクのカーテン、窓際にはセーラー服、ハートの可愛いらしいシーツがかけられたベッド。そこはいかにも女の子らしい部屋だ。
しかし、ポスター、フィギュア、抱きまくら…普通ではないものが所々に見られた。


「しかもまた18禁かよ…」
「いいでしょう別に!」

呆れたようにため息をついた政宗の手には、目の前の彼女から取り上げたアダルトゲーム。パッケージでは美少女が微笑んでいる。

「欲求不満か、honey」
「はあ!?馬鹿じゃないの?」

自分より背の高い政宗を睨みつけながら、アダルトゲームの持ち主である心は頬を染めて怒鳴るように言い返した。

「じゃあ何でこんな物やるんだよ?」

その言葉に心はさらに怒りを募らせたようで、眼力を鋭くさせて政宗の股間を蹴りあげた。

「今度こんな物なんていったら股間潰すわよ」
「…っ…Ok、失言だった…!」

心はゲームを取り返そうとするのを一時的に中断し、勉強机に備え付けられたキャスター付きの椅子に体重を預けた。そしてショートパンツから伸びた白い脚を組むと再び政宗を睨みつける。


「いい?よく聞いて。
私はその可愛い女の子達とイチャイチャしたり、喘いだりする姿を見るのが超好きなの。だって可愛いじゃない!私が触ると可愛い声で鳴くのよ!」

心はひどく興奮したように、喜々としてそう熱弁し始めた。政宗は、俺としてはゲームより実際にアンタとヤる方が好きだ。とさらりと告げる。が、心は今までで一番赤面し、激怒した。

「信じらんない!汚い!この万年発情期!」
「少なくとも18禁のゲームが大好きな奴に言われる筋合いは無いけどな」
「話が別!二次元の美少女とのエッチは!三次元とは比べちゃいけない!」

政宗は何故心が激怒するのか分からず、Ahー、と言葉を濁しながらベッドに座った。

「honeyはゲームでヤるのは好きでも実際にヤるのは嫌いだと?」
「そ、そうよ!」
「Why?」

う、と言葉につまる心。先程までの勢いは消沈している。組んだ脚をおろし、恥ずかしそうに自分の着ていたトップスを握りしめながら小さな声をしぼりだした。

「は、恥ずかしいし…たまに痛いし、私可愛いくないし!政宗はすぐがっつくし…ってひゃ!」

政宗は無意識のうちに立ち上がり、心をベッドに引っ張っていた。羞恥にかられすっかり小動物のようになってしまった心の首筋に顔を埋める。

「これだから心のこと離せねぇ」
「意味、わかんないし…!」

ベッドから音をたててゲームが滑り落ちた。
がしゃり、無抵抗に床に落ちたそれが拾われるまで何時間かかるだろうか。


(100gの愛情表現)
title by memory girl様




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