- !世界が戦争してます設定 いつからだろう。 世界が、戦争が始めたのは。 平和主義、なんて本当に口だけで。 みんながみんな核をつくって、無意味に、くだらない、戦争を始めたのは。 「心、喉が渇いただろう」 いつからだろう? こんな、瓦礫の影の洞窟で息を潜めて暮らすようになったのは。 大好きな人と、太陽の下で笑えなくなったのは。 「幸村…!」 彼が瓦礫の上を、音を立てないように歩く。ぱり、ぱり。乾いた音が微かに響いた。 暗闇の中、手探りで幸村を見つけて手繰り寄せるように抱きしめた。 「お帰り!」 「うむ!…さあ、飲め」 幸村の手には、ビンの半分くらい水が入っていた。闇のなかでぼんやりと光るビンに、水。 「綺麗… いただきます」 中の水を、半分喉に流し込むと冷たく体を満たしてくれた。少し辛いような、酸っぱいようなそれでも、私達にとっては貴重な水分。 「幸村、ありがとう 幸村も早く飲んで」 「かたじけない」 幸村が水を飲む。それを見ていると、自分が飲んでいるときみたいに幸せだ。 「ね、幸村 外はどうなってるの?」 何日、もしかしたら何ヶ月。私はこの瓦礫の洞窟から出ていない。幸村に、絶対出ないように言われていた。 「…心」 「何?」 ぎゅう、幸村に抱きしめられた。 温かい、安心する。 「俺は、太陽の下で笑っている心が好きだ」 「…そうだね 私も笑った幸村が好き」 「だから、お前は外なんて見る必要はないんだ」 「こんな胸のたぎらぬ、くだらない戦を見せたくはない…」 幸村が見ている場所が、私は何処か分からない。表情も分からない。でも、何となく悲しんでる気がした。やっぱり外の話題なんて、振らなきゃ良かった。ごめん、ごめなさい、幸村。だけどね、私はもう知ってるの。 「…私ね、幸村の体が好きだよ」 彼の35度の体温は、いつだって私を幸せにした。 「ねえ、幸村…」 私には、何となくわかるんだよ。 もう此処は、世界は- 「心を守るためなら、俺は、何にだって…なれる なれるはずだ…!」 外が、ありえないくらいの光に包まれた。ああ、きっと世界は、地球は今、すごく眩しいんだろう。 「ありがとう、幸村」 私の体を外から庇うように抱きしめてくれた幸村に口づけをして、私はゆっくりと瞼を閉じた。 刹那、私達は光に飲み込まれた。 #チキュウハホウカイシタ ((願わくば)) ((君が来世で)) ((笑っていますように)) * 趣味に走りすぎてもはや真田じゃないっすねサーセン! 設定としては、世界が核戦争しててその最後、みたいな感じです |