- 「佐助みーっけた」 からりとした晴天の下、私は裏庭へと向かった。 そして木の幹に寄り掛かって眠っている彼を見つけ、はその額にデコピンをかましてやる。ぴくりと体が揺れるのを見て、くすりと笑いが漏れた。 彼が授業をサボるのは極めて珍しいことだ。ううーと唸る佐助の隣に体育座りをして、自分も授業をサボろうとぼんやり思考をめぐらせる。 「心ちゃん、起こすんならもっと優しくしよーよ 俺様、超期待してたのに」 佐助はいつものような軽い口調で言いながら、私の肩に頭をのせた。オレンジの、特有の髪がくすぐったい。 「佐助がサボりしたからお仕置きだよ 今日幸村はどうしたの?」 ノリの軽くいかにも不真面目そうな佐助が授業をサボらないのは、同居しているらしい幸村の世話があるから。子供みたいな幸村はいちいち危なっかしいのだ。 「旦那なら家だよ 大将と、特別特訓」 だからサボれる、とへらりと笑う佐助。彼は残りの3、4限目もサボるらしい。なら私もサボるしかないだろう!とピースサインを見せれば、じゃあひざ枕ね、と佐助。 私の膝に頭をのせて気持ち良さそうに目を閉じる佐助のオレンジ色の頭を撫でる。そこにふわりと、風にのって甘い香りが漂った。自分達の寄り掛かっている木を見ると、案の定キンモクセイ。 「キンモクセイってさ、佐助の髪と似てるね」 「んー色が?」 「色が綺麗なのと、いい匂いがするところ」 佐助の髪はさらさら私の指をすり抜ける。羨ましいなあと何度もそれをやっていると、伸びてきた佐助の手が私の頬をぺたりと触った。 「俺様は心ちゃんに似てると思う」 「私?」 「そう」 起き上がった佐助が、流れるような動作で私を草の上に組み敷いた。 「小さくて、いい匂い」 その言葉と、首筋に埋められた佐助の頭がくすぐったくて思わず笑ってしまった。 * リア友への捧げ物でした なんと中途半端な、ね!← すいやせん! |