- *もとは臨也さんが変態な設定 「なんだ…これは!」 警報警報! ただ今わたしは臨也さんちにて謎の段ボールを目撃。そして見事に腰をぬかしてしまった。 来たときから何かあるなあ、とは思っていたけれど何だか中身が聞きにくく、臨也さんがトイレに行った間に覗いた、のだけれど。 「ひと……」 中には、人。 2つあるうちの1つ、わたしが見たほうには人がちっちゃく体育座りして入っている。 容姿は臨也さんにそっくり。 何だか見ていけないものを見てしまった、ような。 「名前ちゃん」 「ひいっ?!」 そーっとビニールに包まれたそれに手を伸ばした瞬間、爽やかな声が至近距離に鼓膜を揺すぶった。もちろん犯人は臨也さん。 「あ、う!臨也さん、あの、わたし!」 「焦ってる名前ちゃんなんてレアだね。段ボールの中身見たこと、キス1回でチャラにしてあげる」 「だが断る!」 残念、と手をひらつかせた臨也さんはわたしから離れるとパソコンの前に戻っていく。それ開けていいよ、と爆弾発言を残して。 「開け…!?」 「それ、仕事先の人に試してくれって頼まれたんだけどさあ 面倒臭くてまだ開けてないんだよ」 「試す…?」 「人型のアンドロイド 本当に嫌なことに俺とシズちゃんがモデルらしいよ」 「アンドロイド…」 会話ができる愛玩用のロボット、これはそういう類のものらしい。 段ボールのなかに入っていた説明書をそっと取り出してみる。 「Psychedelic dreams 01… サイケ…」 サイケデリックだから、名前がサイケ?だとしたら随分安直だなあ…。 わたしが説明書を読み上げている間も臨也さんはパソコンとにらめっこしている。大分真剣だから、多分仕事が大変なんだろう。 「起動方法、本体の首の後ろの電源スイッチを押す…」 きわめて簡単な方法。 一応興味があるので、臨也さんに許可をとってから電源をいれてみることにした。 ビニールを剥がせば、よりその姿がはっきり見えて生々しい。 わざわざ取り出さなくても段ボールの隙間から電源ボタンは押せるようなので、わたしは思い切ってそこを押した。あ、なんか柔らか… ぱちり。 ロボットの目が開いた。 それはそれはホラーで、わたしは座ったまま後ずさった。 「う…ごいた」 ロボットは人間のように自然に箱から起き上がる。くいっと首を動かしてこちらを見ると、わたしに飛び掛かってきた。 「マスター!」 「きゃあ?!」 何がなんだか分からない。 臨也さんも目をぱちくりさせながらこちらをみている。 「マスター!マスターの名前は?」 「わたし…?マスター…? 名前、だけど」 「名前ちゃん!あっちの人は?」 「え、と臨也さん…」 可愛らしい口調で臨也くん!と自分と同じ顔をした男を呼んだ… 「サイケ…」 「うん、おれはサイケ! 名前ちゃん、臨也くん、よろしくね!」 私も、臨也さんも多分開いた口が塞がらない状態かと思いきや。臨也さんはいつものように爽やか兼胡散臭い微笑を貼付けてサイケを見ていた。 サイケは無邪気に笑いながら私に抱き着いて来る。体格は多分臨也さんより小さい。細さは本人と変わらないけど。羨ましい。 「ねえ名前ちゃん」 最近私は、臨也さんがよからぬことやくだらない事を考えている声のトーンが分かるようになってきた。恐ろしい限りだけど。 「臨也さん、サイケの前で変なこと言ったら怒りますからね」 「まあまあ! …こうしてると家族みたいじゃない?」 臨也さんは案外まとも…?彼にしてはまともな発言をした。 サイケは言葉使いや行動が子供っぽいし、小柄だから確かに幼児を相手してる気分かもしれない。 「家族、ですか。サイケが子供ですね?」 「妻が名前ちゃんで俺が夫」 「その意見には賛同しかねますが、子供とか、家族、いいですね…」 名前ちゃん名前ちゃん!としがみついてくるサイケはすごく可愛い。 母性本能が擽られるっていうのは多分これだと思った。 「臨也くん!抱っこ!」 「はいはい」 何だかんだで臨也さんも相手していて、思わず笑いが漏れる。 「あはは、お父さんな臨也さんって新境地です。案外似合いますよ」 「じゃあ名前ちゃん、いっそ折原名前になって本物の子作りを「サイケ、向こうで遊ぼうか!」…」 まあ、所詮変態は変態! とりあえず、こうしてサイケと私達は出会った。 (ほわほわ日和) * title by memory girl様 大分昔のもの サイケたん欲しい |