わたしと静雄くんは、昔からずうっと一緒に住んでいる。
わたしは仕事から帰ってきた静雄くんがTシャツに着替えるのを見ながら、恵方巻を準備していた。今日は節分!


「静雄くん静雄ん!今日は何の日だか分かるー?」
「節分、いや名前が初めて俺と手を繋いだ日だ」
「…外れだよ」

余談だけれど。お兄ちゃん、静雄くんはシスコンだ。妹のわたしが言うのだから間違いない。ついでに次男のお兄ちゃん、幽くんもシスコンだ。

「ふっふーん!今日は実はね…」
「兄貴、名前」
「幽?!」「幽くん!!」

ぎい、と静かにドアが開いたせいで物凄く驚いた。けれど幽くんだと分かると、久しぶりだなあとか、またさらにかっこよくなった!とか嬉しくなってとりあえず抱き着いた。

「チャイム、押しても気づかなかったみたいだけど…。兄貴も名前も元気だった?」
「ああー、ここぼろいんだよ!」
「俺も名前も相変わらずだ。幽こそ元気か?」
「うん、ありがとう」
「幽くんも恵方巻食べてくかーい!?」
「食べる」

こうして3人が揃うと、懐かしくてつい話が止まらなくなる。何ヶ月ぶりだろう。
恵方巻を無言で食べるこの時間がたまらなく幸せに感じた。


「幽くんも来たならちょうどいい!今日は何の日だ!」
「節分…いや、名前が初めて俺におんぶされた日だ」
「幽くん、静雄くんと同じようなこと言ってるよ」
「俺と幽は兄弟だからな」

…ふ、何か笑ってしまう。
どうにも嬉しい気持ちを隠せないまま、目の前でもふもふと恵方巻を貪る静雄くんの口元についたご飯粒をとって食べた。
あれ、2人ともすごいこっち見てる…怖いよ。慣れてるけど。

「…名前、抱きしめていいか」
「じゃあ俺は兄貴の次に」

やっぱり笑ってしまうわたし。わたしこそブラコンみたいだ。

「みんなでハグだね!」

ぎゅっ、と2人の間に挟まって、ああ、幸せだなあ。

「ちなみに今日はね、兄さんの日だよ!いつもありがとう、お兄ちゃん!」

静雄くんがわたしの頭をがしがしして、幽くんがほんの僅かに笑う。いつまでもこんな風にいれたらいいな。

*
ありゃ、gdgd…




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