#ヒロインがBLとエロゲとイナイレ大好きな腐女子



私のようなしがない腐女子のことなんて至極どうでもいいと思いますが、しょっぱなから私情報ですサーセン。
私は翌日が休日の時は、必ず夜中に大量の萌えに飢える。簡単に言うと、腐海に浸かるのだ。

「お風呂を覗く、覗かない…」

そんな訳で。
翌日がまるまる休みな私は深夜2時にベッドでエロゲをやっていた。(イヤホン装備)


「むむ…」

選択肢の前はセーブ、と。
さあどちらにしようかと脳をフル回転させ始めた時。それを見事邪魔するかのように着信音が鳴った。

「はいもしもしショタ攻めラブな名前です」

誤解しないでいただきたいが、私だって流石に普段からこんなふうに電話には出ません。

『君の腐った好みなんて聞いてないんだけど』
「実はセバス受けが好みです」
『ちょっと黙ろうか?』

相手は同窓生で眉目秀麗(笑)な臨也だった。
イケメンぼっちめ、こんな夜中に何の用だ。そう聞くと別にー?と不快な回答。

「バイバイ」
『ストップ。名前の声が聞きたかったんだよ』
「は?シズちゃんの声が聞きたかった?」
『うん、名前の脳は予想以上に侵食されてるのが分かった』
「それより私忙しいから。静雄とのラブラブ話以外したら切る」
『何してるの?』
「エロゲ」

…何故沈黙!
いいじゃんか私は美少女好きだついでにロリが好きだ!某小学生バスケ部のコーチになりたいし、自称えきぞちっくなあの子と同棲したいし、ロリ誘拐聴いて「俺だ…」ってなったよ!ちなみに前者2つのネタ分かる奴は同志!

「微乳派で何が悪い!!」
『…何いきなり』
「あの微かな胸と細い腰と脚と守ってあげたくなるような雰囲気たまらんし!!」
『分かったから真夜中に幼女について熱弁しないでくれる?』

つい熱くなったロリ崇拝者な私はふと自我を取り戻し、潔く謝った。臨也は相変わらずだね、とまだ話を続けるみたいだ。

『ねえ、名前』
「なに?」
『これ、極めて真面目な話』
「…?」

真面目になった臨也の爽やかなイケボイスに脳幹を揺らされた気がした。えろい。
ごく、とあらゆる意味で耐えられず生唾を飲み込んだ刹那に、また私は妨害を喰らった。


ガンッ。
玄関のほうから突然した破壊音。

…これはあれか、一夜怪談フラグ。むしろ死亡フラグ?ホラー?ホラーなの?

「助け、て」
『名前?』
「なんか、玄関から音が…」

ひたひた、某ウッディアニメを彷彿させる足音。
私の狭いアパートでは玄関から寝室までの距離は僅か。即ち、足音はすぐに寝室までたどり着いた。

「何か来る…!う……
……ってお前かぁああああ!」
『名前、大丈夫?』
「あ、静雄だったから平気」

寝室のドアを開けて立ち尽くしていたのは静雄だった。いろいろ問題あるけど幽霊よりはマシだ。
ノーサングラスな静雄はふらふら、寝室に入ってくる。比例して漂うのは多分、アルコール臭だ。

「ごめん臨也、またね」

あなたのダーリンが暴走する前に寝かしつけます、と一言付け加え電話を切った。
ふらふら、目もうつろで泥酔だか酩酊だかそんな状態の静雄に駆け寄って体を支える。

「静雄?」
「名前…、なんか、頭が変な感じしやがる」
「飲みすぎだよ。水持ってきてあげるから-」

そうしてキッチンに行こうとしたのに。
ひゅ、と。
息が詰まった。

「…静雄、」

私は乙ゲーよりギャルゲー派だから、押し倒されるなんてシチュに免疫はないんです。

バーンの添い寝シーツの上に押し倒され、上に静雄が乗っかている。何フラグだよ、これこそ。

「お前に、」
「おーい、平和島さーん、しっかり」

顔の赤い静雄は心なしか涙ぐんでるようにも見える。全く、困ったものです(cv小野)。

「静雄ー発情期かいー?」
「お前に、むらっときた」


………

「いやいやいや静雄!臨也と私、間違えてる!」
「…あ゙ぁ?!」
「そこは怒るんかい!」

とりあえず私にこういう乙女体験(笑)はいらん!もそもそとお腹辺りをまさぐる手を掴んで抵抗してみた。

「名前、すき、だ」
「…?」
「ずっと、好き…だっ…た」

what?why?パーリィ!
そのまま力尽きたように寝てしまった静雄。

なんだいまの。告白?これなんて乙ゲー?

「…あ」

静雄を横にのけながら、私は自分が黒のVネックを着ていることに気づいた。

「やっぱ臨也と間違えたのか!」

え、じゃあ何だ、2人はいつもこんなことを?アッー!

「え、へへ…」

午前3時。
私はバーン(シーツ)が静雄に添い寝している奇妙な光景を見ながら、ベッドの横で眠りについた。

*
友人へ




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