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あと数分、あと数百秒。それだけすれば今年が終わる。
呆気ないものだ、と黒沼青葉は思った。


ぼんやりと、青葉がカウントダウンが進むテレビを見つめているとコタツで熟睡していた名前が起きた。
名前はコタツから体がでないように注意しながらもそもそと移動して、青葉の足に頭を乗せる。

「あーおーばー」
「何ですか?」
「青葉、ジャニーズになったら売れるよ」
「名前先輩は、なってほしいですか?」
「嫌ー
青葉たんは私のだよー」
「青葉たんって」

先輩は名前たんですね、なんて青葉は笑いかける。世間で言うバカップル、その代表のような2人。

「青葉!年があける瞬間にちゅーしよ!」
「先輩、もう過ぎました!」
「嘘!あ、鐘鳴ってる!」
「さっきからテレビで言ってたじゃないですか」
「青葉たんのあほう!」
「…先輩、人のせいにするんですか?俺は別にいいですけどベッドにはいってから泣くのは名前先輩ですよ」
「へんたい!えっちいよ青葉!」
「はいはい」

あほらしい会話が延々と続くこの空間は、すごく馬鹿らしい。それでも居心地がいいのは青葉にとって不思議なことだった。

「青葉、蕎麦作って」
「もう鐘終わりますって」
「うちは年越した蕎麦だい!」
「はいはい」


#砂糖の100倍甘い恋を
(おいしい!青葉はいいおよめさんになる!)
(先輩が頑張ってくださいよ)




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