- *同学年 *4巻 *微かにネタバレ? 「…」 眠さもピークに達す、昼食後の5限目。 誰もがこくりこくりと首を揺らす中、私も例外に漏れず睡魔と戦っていた。 教科は世界史。昔の人のことなんて、何で今更やるのかなあ。と中学生みたいなことを考えながら、眠気覚ましにシャープペンシルを回していた私。 (ん) 先生ののんびりとした余談にまじって、私の耳に届いてきた微かな息遣い。 くるりと隣をみると、気持ち良さそうに寝息をたてるクラスメート、黒沼君がいた。すっかり寝ているその顔はこちらを向いていた。 可愛い顔だなあ、と女の私からも思う。彼は所謂童顔なのだろう。ジャニーズみたいな、幼い少年みたいな。 ぼーっとその顔を眺めていると、突然開いた彼の目が私を見た。丸い水晶体は私をとらえ、きょとん。 首をコキコキ鳴らして起き上がると、小声で私に話し掛けてきた。 「そんなに見られたら穴開くんだけど…」 「え、起きてたの……!? ご、ごめん!ごめんなさい!」 声色が平たい。抑揚がない。 黒沼君が怒ってるかもと感じた私は小声のまま謝った。けれど別にそんなことはなかったようで、黒沼君は謝る私を楽しそうに見ているだけ。 「苗字さん、面白いね」 「へ…?私つまんないよ?…え?」 にこにこ、人懐っこい笑みを浮かべる彼に戸惑う。 「あ、俺、黒沼青葉」 「何を今更…!覚えてるよ? この前、月山さんのこと言ったから」 「あんまり嬉しくない覚え方だね」 彼が…月山さん、クルリを虐めてた子のことを先生に言い付けたのは印象的だった。 「そういえば苗字さんって、折原さんと仲良いよね?」 「クルリとマイルとは昔から仲良しなの」 折原兄妹とは、昔馴染みの仲。高校入ったら誰か突っ掛かってきそうだよね?楽しみだね!なんて話していたのも、割と最近の話。 ちなみに月山さんのことがあったとき、私はクルリとマイルと、どうやって仕返しするか考えていた。 「へえ…幼なじみ?」 「そんな感じかな… よく家に行ったり、」 2人のお兄さんと、よく会ってたから。 そう付け足した時、黒沼君は笑みを浮かべたまま微かに眉間にシワを寄せた。 黒沼君?と声をかけたらすぐに戻ったけれど。 (不思議な人だな) それから他愛のない雑談を振ってきた黒沼君を、私は心の底で分析するように眺めつづけた。 #相対に紐を解こう (また…そんなに見られると穴あくって) (うああ、ごめん!) * デュラのリハビリがてらに青葉たん ひ、非似にも程がある…! 何だか話が曖昧なのは仕様、といっときます |