どうして真っ暗なのか、私は一時思考停止した脳をフル回転させて考えた。
青葉がうちに泊まりに来てて、ふたりで喋ってたところまでは確実。
外は大雨で、雷が時々雷鳴を轟かせている。
雷…?

「停電だよ青葉!」
「いまさらですか、先輩」

いきなり暗くなった理由がすっきりして叫ぶと、後輩兼彼氏である青葉の馬鹿にしたような声が暗い部屋に響いた。くそう、生意気な!

「雷もひどいし、いつ直るから分かりませんね」

青葉の開いた携帯の明かりがやんわりと周りを照らす。私の位置を確認した彼はすとん、とすぐ横に座った。

「ねえ名前先輩」
「何でしょう、青葉君」

私の胸に青葉の手が触れた。
楽しそうな声が不思議で何かと問えば、また楽しそうな返事が返ってきて。

「しばらく停電した場所に人を置いとくと、無意識のうちに性行為に走るらしいですよ!」

へえ、知らなかった!そう返しつつ、何とか青葉から距離をとろうとするとすぐに押し倒されてしまった。
やっぱり、もう嫌な予感しかしない。暗い中なのに、的確に私のパジャマの中に手を入れる青葉に尊敬の念さえ抱く。

「青葉、今襲ったら別れるから!」
「仕方ないでしょう先輩?
さっき言った通り、こうなるのは自然現象なんですよ!」
「そうゆう問題じゃなー…!」

かぷりと首筋に歯が当たった。きっとキスマークがついたのだろう。全く事を止めようとしない青葉に諦めを覚えたその時。
パチン、下着のホックが外れる音とともに電気がついた。

最悪のタイミング。
恐る恐る青葉を見れば生き生きと意地悪な笑みを浮かべていた。

「せっかくですし、今日は明るいままやりましょうか!」

真っ黒な笑みは逃げ場なんてないことを示していている。
結局私は涙目で青葉に体を預けるしかないのだ。


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「見えない臓器の名前は」
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