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!ほんとにほんとに少し破廉恥




お酒を飲むと性格が変わる、なんて話は珍しいことじゃないと思う。(私は未成年だから、よく分からないけど)
とりあえず、お酒の力は偉大なんだって今まさに理解した。とゆうか体で実感している。


「し、しーくん…?」
「名前…」

ふにゃ、と目の前の彼が弱々しく私の名前を呼んだ。吐息まじりの声。普段はタバコか、甘いにおいのするその息からはお酒の臭いがした。
いつもだったら、押し倒されるなんて状態は嬉しいのだけど今は別だ。

「私…初めてが酔った勢いで、なんて嫌だよ…?」

んあ、と私の言葉を一言も分かってないしー君が謎のうめき声をあげながら私の手首を押さえた。

「名前…好きだ」

危機的状況なのだけれど、ドキリと心臓が跳ねた。だって、いつもより赤面で何だか雰囲気も色っぽいし、サングラスないし!そんなんで好きだ、とか言われたら!これでときめかない女はいないよ!

「しー君、私以外の女の子の前でお酒飲んだらダメだよ」

わかったのか、分かってないのか。彼は、あ"ーとかうーとか私に返した。
気づけば、私の両手を束ねて押さえていない方の手で私のシャツのボタンを外していた。おたおた、でも確実にボタンは全て外れていった。

「ひ…!しー君ストップ!」

照れ屋な彼は普段こんなことはしない。だから積極的にしてくれるのは嬉しいけど、酔った状態なんて嫌だ。
本気で処女喪失の危機を感じて必死に暴れても、しー君は手加減してくれているんであっても…
池袋最強に敵うはずもない!

ピンポーン、とチャイムが何回か来客を知らせているがそれすら無視されている。プチッと下着のホックが外れて、嗚呼、私の顔色はきっと真っ青だろう。
その時、なぜか玄関の鍵が開いてドアから誰か入ってきた。

「…」

その人物は私達を無言で見つめ、ぴたりと固まった。その来客に気づいたしー君の力も緩んだ。

「幽…よく来たな
今、お茶…入れる」
「いや、邪魔なら帰るけど…」
「帰らないで幽君!」

今はふらふらとキッチンへ歩いているしー君だけど、幽君が帰ったらまた襲われる。それを確信して、踵を返そうとした幽君に飛び掛かってしがみついた。

「私を見捨てるのかああ!?
何だかんだでもう10年以上の付き合いなのに!」
「…名前、落ち着いて」

相変わらず無表情な幽君は、珍しく気まずそうにつぶやいた。

「あと、できたら服着て」


ふっと自分の姿を見て。
頭が、真っ白になりました。


#かれとはおうちの床で寝る中です
(頭痛ぇ…
で、名前は何でそんなに真っ赤なんだよ)
(兄貴、酔ってたんだ)
(もういろいろ死にたい)


お題拝借:みみ様




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