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*タイトル通り、臨也の妹設定



「しー君は、好きな人には押しまくるタイプ?地道にアピールしてくタイプ?」

ぽとり、静雄の手からポテトがすべり落ちた。それは見事、声をかけた人物によってキャッチされぱくりと食べられる。
そしてポテトが運ばれるはずだった静雄の口は開いたまま。それじゃあ口が渇いちゃうぞーと笑う目の前の少女。

「名前っ手前っいきなり…!
どこから湧いた!?」
「えー?何処と言われましても!新宿ですけど」

へらへらと笑って(しかし本当は笑っていない)、カウンター席の静雄の隣に座った少女。距離を置いて座っていた周りの客がびくりと肩を震わせた。池袋最強と、新宿のお嬢様学校の制服の高校生の組み合わせは奇妙すぎるのだ。

「お前…やっぱノミ蟲に似てるな」
「そりゃあ妹ですから」

思い出すだけで吐き気がする相手の顔と瓜ふたつの、残念ながら整っているその顔。
何の用だ、と静雄に問われた少女はまた笑う。

「だから!しーくんの恋愛タイプを聞きに来たの!わざわざ平日に!…お分かり?」
「意味わかんねーよ
お前学校はどうした?」

確かこいつが通っていたのは、都内でも指折りの優秀なお嬢様進学校だったはず。静雄は顔をしかめてシェイクを啜る。

「サボりだよ、行ってもつまんないし」
「お前友達いねぇだろ」
「失礼だなあ
いるよ、上っ面の友達くらいは
でもみんなお嬢様で、真面目だし話合わないし…
制服が可愛いからって選んだのが間違いだね」
「そんな理由で行けるレベルじゃねーだろ、あの学校」

自分の身を包む、デザインや生地のいいセーラー服を見て苦笑する少女。静雄は呆れたようにため息をついた。

「シェイクもーらい」
「っ!勝手に人のモン飲むんじゃねぇ!」
「いいじゃん一口くらい
全く、しーくんはいっつも私と臨也くんを虐めるんだからー
クルちゃんとマイちゃんには優しいくせに」
「手前らとあいつらは別だ」


直後、ニコニコとしていた少女が俯いて黙り込んだ。静雄もだんだん異変に気づいて首を傾げた後、少女の肩に手をのせた。おい、呼び掛けても返事はない。代わりといわんばかりにぽたりと、水が一滴。

「名前…お前まさか泣いてんのか」

少女が顔をあげる。
兄に似て赤みがかっている、大きな瞳からはぼろぼろと涙がこぼれ落ちていた。静雄は今までと一変した態度についていけず困惑するばかりだ。

「私のこと…嫌いなんだ」

少女のか弱い一言。さっきのは失言だったか、相手は臨也の妹とはいえ女の子。静雄が、悪いと心から謝ったその刹那。


「ばーーーかっ!」

ビッ、と頬を掠めたナイフ。
驚きで硬直した静雄を笑いながら、少女は立ち上がった。そして白い頬をあわあわと染めて至福の表情を浮かべる。

「やっぱりしー君をからかうのは堪らないね!超楽しい! まだお昼だし、これから私とおにごっこしよーよ!」

状況を理解し、ふつりふつりと怒りが沸いて来た静雄は額に血管を浮かべ立ち上がった。力をかけすぎたカウンターのテーブルにヒビが入ってゆく。

「上等だ!」

構えた静雄に満足げな笑みを見せて、少女は恍惚とした口調で、兄のように長ったらしく述べた。


「私は好きな人には押しまくる人が好きだよ
…ほら、教えてあげたよ?単細胞な平和島静雄!
恋に積極的な人は報われるんだよ
私もそうだし、あなたもそうなるべきだよ
早く私を好きになりなよ!私、しー君のこと大好き!」
「ははっ…名前ちゃんよォ…
それを有難迷惑って言うんだっ…よ!」
「っと危ない危ない
ちょっと、私女の子だよー」

標識や自販機をひょいひょい避けながら、少女は機嫌よく鼻歌まじりに池袋を駆けた。


(え、名前っ!?)
(正臣くんお久しぶりー)
(名前!待ちやがれ!)


*
設定つきヒロインは夢があって楽しいです
だってほら、デュラだし…少しぶっ飛んでた方が馴染むかなぁと←
このヒロインは変態ですね




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