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ザアザア、池袋の街に穏やかに大量の雨が降り注いでいた。
夕暮れ時、静雄との喧嘩を終え帰路についていた臨也は人込みの中埋もれている小さな少女を視界にとらえた。
よく見ればそれは自分のよく知った人物で、傘も差さずに歩く彼女に声をかけた。

「名前」
「っあ、臨也くんかあ
びっくりしたー」

いきなり腕を掴まれたせいで肩を震わせた少女は、臨也だと確認すると安心したように微笑んだ。偶然だね、と臨也に頭を撫でられながら彼女はまた笑う。

「傘はどうしたの?
そんな格好でうろついてると、変な奴につかまると思うけどなあ」

少女のセーラー服は大分水が染み込んでいる。つまりは水のせいでいろいろと透けていて、目に毒なのだ。髪を撫でる臨也の手もあっという間に濡れていた。

とりあえず屋根のあるところに2人で入る。少女はスカートの水をしぼりながら苦笑していた。

「途中濡れてた小学生にあげちゃった
そしたらこんなに濡れちゃってさ、もう災難」

お人よしの彼女らしい理由だ。臨也はすぅっと目を細めた後、自分のコートを彼女にかけて自然な動作で手を握った。

「名前に変な虫がつくと大変だからね」
「うあー臨也くんが優しいとか気持ち悪い!
この後絶対やらしいことする気でしょう!」
「こんな格好でうろついてる名前が悪い」

ああー最悪、明日は学校休むから、そうぼやく少女をこれからどう虐めてやろうか。あぁ、楽しみだ!
臨也は口元を釣り上げながら、濡れるのも気にせずに近場のホテルを吟味し始めたのだった。


(臨也くんの変態、すけべ、馬鹿)
(ご機嫌斜めだねぇ?)
(だれのせい!?)

*
ただのへんたいざや




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