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私は小動物が好きだ。
小さい頃はハムスター、そして今はリスとうさぎを飼っている。

特に最近飼い始めたリスのタイガーは本当に可愛い。
2泊の合宿中もきちんと許可をとり、タイガーを連れてきた。2日離れるのさえ悲しいのだ。


休憩時間、私が何気なくタイガーの事を伊月先輩や小金井先輩に話すと、見てみたいと言ってくださった。

そして、寝る前の自由時間にタイガーを連れて男子の部屋にやって来て今に至る。


「おおー!可愛い!」
「えへへ、タイガーです」

早速来てくれた先輩方に、ゲージの中でちょこまかするタイガーを取り出して差し出す。
タイガーは雄で、赤茶の毛並みに虎みたいな模様、そして目付きが少しだけ悪いシマリスである。
リスにはしゃぐ小金井先輩可愛い。

「誰かに、似てる?」

伊月先輩が手のひらに乗ったタイガーをまじまじと眺めている。誰かに?
2号じゃあるまいし、と笑おうとした時、私の肩をぽん、と誰か叩いた。振り向くと、ぷに、頬に指が刺さる。可愛いいたずらをしたのは黒子君だ。

「火神君に、似てません?」
「…!
そうだ、火神だ!黒子、火神連れてこい!」

へ?あれ?火神君……だと?
黒子君が、布団に寝転んでいた火神君を連れて来るのを横目に、愛しのペットをよく見る。うわ…。

「似てる…」
「伊月先輩、何だ…ですか」
「火神!白ちゃん、ちょっとリスと火神比べてみ!」
「すげー!まるで黒子と2号だな!」

状況を把握できていない火神君が困ったように眉を寄せ、おい、と黒子君のシャツを引っ張っている。
私は伊月先輩に言われたように、布団の上にあぐらをかいた火神君の顔の横にタイガーを乗せた手を並べてみた。

「おお!」
「火神みてぇなリスだ!」

部屋にいた他の面々も楽しそうに集まってきて、火神君とタイガーを見比べている。タイガーの頭を撫でてやると擽ったげに少しだけ鳴いた。

「何なんだ、このリス…」
「宇佐美さんのペットです」
「可愛いでしょ?」

タイガーを黒子君の手に移すと、きゅ、と可愛い鳴き声をあげてそっぽを向いてしまう。しかし手から降りようとはせず、黒子君の手の中で歩き回った。

「ほら、黒子に対する態度まで火神みたいだ」

伊月先輩がその様子を見て楽しそうに笑った。うわあ、何かそう思うとさらに可愛い!
いつものナッツを差し出すと、口いっぱいに入れて咀嚼する。みんなが火神だー!と笑った。

「そんなに似てるか?」
「2号と黒子君くらい似てる」

黒子君の手の上から私の手に飛び移ったタイガーは、おやつを貰えて満足げである。火神君に覗きこまれているのも気にせず、きゅーきゅー鳴いて私にさらにナッツを要求した。

「あっ、こらタイガー!」
「何だよ」

…ん?
ナッツの袋に顔を突っ込もうとするタイガーを叱ると、何故か火神君が私を見る。あれ?何で返事するの?ちょ、タイガーに似た目でこっち見んなし。

「タイガー…?」
「つか、あれ?宇佐美、お前俺の事名前で呼んでたか?」

呼んでないよ!
火神君の下の名前?
大我、タイガ、タイガー……。
あ、あれ、まさか…?


タイガーも火神君も不思議そうにこちらを見ていて、とうとう周りの皆が吹き出した。

「火神!お前じゃなくて、そのリスの名前!タイガー!」
「さすが火神君。期待を裏切りませんね」

ようやく理解したらしい火神君にナッツの袋を差し出し、笑いかけると全力で顔面を握られた。めりめり、嫌な音。こんなタイガーは嫌だ。


「うりうり、タイガー可愛いね。伊月先輩に遊んでもらおうか」
「おいで、タイガー」

「…火神君、そわそわするの止めてください」
「うっせえ!」
「大我、ナッツ食べる?」
「や、やめろ、です!伊月先輩!」

可愛いタイガーに加え、火神君の可愛い一面が見れて私は非常に満足。
しかしこの出来事以来、火神君は私がタイガーの話をしようとすると恥じらいなのか何なのか、私の顔を握り潰す癖がついてしまったのだった。


*ペットは責任をもって飼いましょう!




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