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サボタージュ、そんな事もしたくなるような時期であり、良い天気の今日。6限は体育であったはずなのに、自習!なんて言われて、テンションのままに屋上に来てしまった。青春真っ盛り高校生だし。まあこういうのもアリだよね!

「そしてこの火神君である」
「何だそりゃ」

うちの学校の屋上は、基本的に日中は解放されている。
ジャージを2枚床に敷いて、人目も憚らず横になっていた私の横に無言で腰かけたのは火神君であった。
起き上がるのもしんどいので、失礼ながら寝たまま見上げる。

「何でこんなとこで寝てんだ?」
「女子のプールは自習になったの。火神君は?」
「男子はシャトルランっつーやつで、監督に出るなって言われたからサボった」

そうだ、桐皇戦を控えた火神君にダッシュの長距離みたいなものをやらせるのは頂けない。納得して、そっか、と返した。

「つかお前、スカートで寝転ぶなよ」
「でも火神君しか居ないし良いでしょ?」
「良かねえよ!」

早く起きろ!と前髪をぐっちゃぐちゃにされ、慌てて起き上がる。ふん、とドヤ顔をする火神君。む、むかつくぜ、です。

「あ、じゃあ昼寝も出来なくなった事だしマッサージしたげるよ」
「あぁ…何か黒子が言ってたな。親がマッサージしてる人なんだろ」
「うん。正しくはあん摩マッサージ指圧師、つまりマッサージ師ね」

マッサージ師の資格は大学生からでないと取得出来ない為まだ無免許であるが、親に仕込まれた技術は素人よりは効果を期待できるはず。カントクのお父様の評価もいただいている。

「はい、ちゃちゃっと横になる!」

火神君は部活があるからか既に練習着である。ならば気にする事はない、とコンクリートに寝転んでもらった。何すんだ!と怒鳴られたけど、火神君をなんてキセキに比べたら赤ちゃんだ、赤ちゃん。優しいもん。

「じゃあ、腕から始めますよー」

早速、彼をうつ伏せにさせて腰辺りに跨がる。いつも真ちゃんにやってるのと同じだ。

「な、に、してんだ!宇佐美!」
「ちょい!暴れないでよ火神君」
「いや!お前が乗っかってくるから!」

急に暴れ出した火神君の肩を押さえ、どうどうと落ち着かせる。何だって言うんだ、全く。

「しょうがないでしょ。こうしないと力入らないもん。ていうか、いつも皆にやってるし」

主に伊月先輩とか伊月先輩とか伊月先輩とかにね!あと黒子君!

「いや…でも、宇佐美…これは…別にいいけどよ」

ふう、と何かを諦めたらしい火神君が反抗をやめて大人しくなった。良い子良い子、と言うと怒鳴られたけどね!

それから私はあー、なんてたまにうめき声をあげる火神君にマッサージを始めた。火神君ってやっぱり体格良いなあと思う。

「ねえ火神君…」

そういえば火神君の昔話とか聞いてみたいなーと思ってた事を話題に出そうとして、私は咄嗟に口を閉じた。耳を済ますと、やっぱりすー、すー、と小さな寝息。うん、寝てる。

「子供みたいだなあ」

普段なら絶対触れない、かための赤い髪をわっしゃわしゃにして、私は思わず笑ってしまった。


#大きな虎を撫でてたら寝ちゃった的なあれですね







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