- 真夏の空が、きらきら輝いている。ああ、日焼けするなあ、と思った。 大きな校舎がバックの噴水の近くに、私と燐はぼんやり座っていた。 「恋すると、胸が苦しいね」 ぶっ。 隣からちょっと汚い音。 彼の瞳みたいに青い雫がきらきら吹き出している。おお、これは綺麗。 「な、何だよいきなり!」 燐はゴリゴリ君を再びかじりながら軽く怒鳴った。赤いほっぺたがじわじわ、周りの熱を吸収しているみたいだ。 「恋すると胸が、じりじりしない?」 私の胸が焦げるのと比例して、真夏の空気も焼け焦げるようにあつくなる。胸が、心が日焼けしてるんだろうか。 「燐」 触れそうで触れない、でもすぐ隣にある燐の手は生温かった。指を絡めて、息をつく。 「花、アイス食うか」 差し出されたゴリゴリ君と、燐の笑顔に甘えて冷たい氷菓子を一口頂いた。甘くて涼しい味は口に飽和して、私を笑顔にする。燐がまた笑う。そして、抱きしめ合う。 「…あついよ」 「あついな」 「燐さん」 「何だよ」 「ちゅーしていいですか」 「お…?え、待てっ…」 恥ずかしいからキスはこの1回だけにしよう、うん。 自分の顔がひどく熱を帯びていき、燐の顔も真っ赤に染まっていた。 「私と恋をして、胸を苦しくしてくれる?」 私が彼に嫉妬して、好きで、恋を日焼けさせるように。 我ながら陳腐な台詞だ。 「よくわかんねぇ、けど。俺は花がす、す、好きだ」 緊張か何かよくわからないけど、私の身体を支える燐の手はちょっとだけ震えている。 好きだから、臆病になる。そう自惚れていいでしょうか。 「私、幸せだよ」 「…俺も、」 その先を遮るようにふわっと吹いた風が、ゴリゴリ君の袋が飛ばした。中の棒(当たりだったらしい)を救うために燐は走り出す。 その後ろ姿を見ていて、なんだかにやにやが止まらなかった。 この甘ったるい淡い恋を泳ぎきったら何があるのか。 いつまでも焦げるような夏を巡っていられるのだろうか。 「花ー!ゴリゴリ君もう1本貰いに行こうぜー!」 ぶんぶん。こちらへ振っている手を握るため、私は熱いコンクリートを踏み出した。 #ラブシャワー title by みみ様 Thank you for maru sama! リクエストありがとうございました! * BGM:ミ/ュージ/ックア/ワー ポ/ル/ノグ/ラフ/ィテ/ィ |