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気軽に家を尋ねて、約束もなしに会いに行く。以前は躊躇していたこの行動も、つい最近は習慣のようになっていた。


「あの人なら向こうの寝室でお昼寝中かもってミサカはミサカは彼女のあなたに気を使って、聞かれる前に答えてみる!」
「ありがとう、打ち止めちゃん」

黄泉川先生のお家入るなり、満面の笑みを浮かべたに打ち止めちゃんに迎え入れられた。
冒頭の通りこんな事はもう何回もやっているけど、なかなか慣れない。というか恥ずかしい。

ともかく私は打ち止めちゃんにお礼をして、寝室に足を踏み入れた。

「一方通行」

ぼすんと真っ白なベッドに飛び乗った。真っ白なベッドに同化するように体を預けていた、真っ白な人。
俯せ気味で眠っていた彼は、不機嫌そうに赤い瞳で私を咎める。

「ンだよ…」
「私も寝る」
「そォかい」

一方通行はちらりと私を一瞥しただけで、やはり睡眠に戻ってしまった。すぐに聞こえた寝息に、起こすと言う選択肢はなくなる。あまりにも気持ち良さそうだから。

「あくせらー…」

…退屈だ。
一方通行の横に寝転んで、真っ白な髪をいじくる作業に移る。さらさらの髪は透き通るような白さだった。

「白っていうより透明…?」

続いて睫毛、肌、色々なところを触ってはごろごろ、触ってはごろごろ。まあ…何だ。暇なんです。

「ったくよォ…何なンですかァ」
「うわっ?!一方通行、起きてたの?!」
「あちこち触られてりゃ嫌でも起きるっつゥの」

ごめん、と一応謝ってみる。一方通行は本気で怒っている訳ではないらしい。くうっと軽くのびをしながら欠伸を一つ。


「…一方通行、腕枕して」

何だか眠くなってきた。
一方通行にくっついてやわらかい睡魔を感じながら言えば、むしろ機嫌は良かったらしい彼は面倒臭そうに腕を横に伸ばした。

「仕方ねェから今日だけ貸してやるよ」
「わーい」

その腕かなり細いけれど、やはり男の子。私みたいに二の腕はふよふよじゃない。

「一方通行の匂いだー」
「ンだそりゃ」
「コーヒーとフローラルのコラボ」
「意味分かんねェ」

「何か…一方通行、真っ白だね」
「髪がかァ?」
「うん。それもだけど、匂いとかも」

一方通行は相変わらず訳が分か
らないというように眉を寄せた。
それもそうだろう。私自身も眠くて、何を言ってるか分からないし。


「…良いこと思い付いた」
「どうせまたくだらねェ事…」

むくっと起き上がった私は、寝そべる一方通行に不意打ちでキスをする。
見開かれた彼の赤い瞳に、半開きの口。一言で表すと、超、あほづら…!

「ふ…あははっ!ばかみたいな顔!
…って、あくせらさん?手が!手が腰に…」

てっきり逆鱗的な物に触れるかと思っていたが、まさかの反応だった。腰を這う白い手にぞくぞくする。

「あァ?誘ったンじゃねェのか?」
「断じて違う!!」

生憎私は自分の体を大切にするタイプで、マゾヒストな趣味はない。
久しぶりに見た、ぎらぎらする一方通行の赤い瞳に鳥肌を立たせながらじたばた暴れてみる。

「面倒臭ェから暴れンなよ」
「暴れるわ!」
「さっきまでベタベタしてたくせによォ」
「あれとこれとはっ、話が別!」

腰に回された一方通行の手に引き寄せられ、顔が一気に近づく。コーヒーフローラルこと、彼の匂いが鼻をくすぐった。心臓がばくばくと高鳴っている。

気づけば私は一方通行の上に跨がっている状態だった。(ふ、不可抗力ということで!)

「…眠ィな」

が、突如として彼は腰の手を離した。支えを失った私は一方通行の上に思い切り落ちる。べちゃっと。

「…あくせらさん、はなすときは言ってください」
「…」
「寝てるし!」

私は再び一方通行の腕枕に頭を乗せ、視界に真っ白な彼を見ながらゆっくり瞼を降ろした。


#透明を跨いでゆめをみる


▽素敵企画様に提出
2011/4/4




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