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朝。すごく平凡な朝のことだ。

「とりゃーっ!低血圧な晴久くんにスペシャル水鉄砲!」
「ほわたーっ!そんな尼子に水鉄砲アタックー!」

びしゃーっと水が飛んできたのだ。(しかも最悪なことに制服はクリーニングかけたばかりだった)

「おはよう晴久くん!」
「良い朝だな…夏」

もちろん俺にこんな馬鹿げたことをしてくる奴らといえば、宇都宮、そして夏だ。

無駄にごつい水鉄砲を構えた2人は俺を真ん中に挟んで相変わらず笑っている。

「ぎゃっ誘拐される!
…痛い!痛いよ晴久くん!」

俺は近くにいた夏の制服の襟首を引っつかんでチョップをしてやった。

「むうー…やっちゃえ広綱!」
「おう!一般入試に一泡ふかせてやるぞ!」
「まだそのネタ引きずるか!」

またもや水鉄砲を浴びせてきた宇都宮の襟首も引っつかむ。それにしても両手で2人をおさえるだけで腕が痛「広綱くん!そろそろかな?」「いくぞ!」

…本人達は内緒話をしているつもりだろうが、バレバレだ。次は何が来る!と手を離して身構えた俺の前に出されたのは水鉄砲でも他のおもちゃでもなく。

「じゃーん!」
「尼子にプレゼントだ!」

クッキー…だ。
不格好にリボンが結ばれラッピングされた、これまた不格好な形のクッキー。

「お、まえら…これ…」
「昨日2人で作ったクッキーだよ!」
「夏と頑張ったんだ!」

お世辞にも美味そうとはいえない、焦げてボロボロになった見た目。リボン結びが昔からできないこいつらが頑張ってやったであろうラッピング。

「これのためのサプライズだったのか…ありがとな…」

まさかパン粉ってどんなパン?なんて話していた2人に料理ができるとは。
我が子の成長のようなものさえ感じた俺は、2人を抱きしめてあることに気づく。

「夏、宇都宮…その指の怪我」

2人の手には無数の傷。切り傷をはじめとした痛々しい怪我は一昨日には無かった物だ。

「まさか、クッキーを作ったせいで…!」
「あ、昨日授業でセパタクローとダブルダッチやったの」
「外でな!」

…そこは料理じゃねえのか…。そういや昨日校庭が騒がしかったしな。

(つかまたマニアックな競技だな)
「なあ、夏。尼子は一般入試だしそんなスポーツ知らないんじゃ…」
「はっ!気づかなかった!」

…だから。

「おまえらの内緒話は聞こえてんだよ!!あと一般入試言うんじゃねえよ!!」
「うぎゃーっ!!晴久くん、帰宅部なんだから無理して二人持ち上げると腕痛めるぞ!」
「尼子の帰宅部ー!」
「うるせえええ!」


#尼子君の憂鬱-again-

*
楽し…かった!←
アホな子は本当可愛いとおもいます(笑)
今回も尼子君には頑張ってもらいました^▽^
素敵なリクエストとご参加、ありがとうございました!



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