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「星なんて大嫌いだ!!この天体!ヒトデの角に頭ぶつけて死ねえ!」
「うわ、ちょ、夏!あぶね!落ち着けって!」
ぶんぶんと細い腕を振り回しまくる目の前の女は、俺の可愛い彼女だ。
いつもは、星!星!と俺の周りをちょこまか走り回っている夏だが、今日は違った。原因は、まあ俺だ。
「もう知らない…!馬鹿天体…!」
「本当誤解だ!っうおお!」
今度はスコップがマスクの前を横切り、走り去る夏を追う妨害をした。スコップを振り回したのはP子、そしてニノまでこちらを訝しそうに見ている。
「女の子泣かすなんて最低!」
「星…見損なったぞ」
女子組の鋭い視線を浴びながら、俺はただ立ち尽くした。
(頼むから話聞けよ……!)
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ちょっとした、本当にちょっとした事だった。
コンビニの帰り、河川敷の近くで若い女の子達にアドレスを聞かれた。そりゃあ多少デレデレしてしまったかもしれないけど、ちゃんとアドレスも交換しなかったし…!
「星、少しざまあみろと思った。しかし今だけは励ましてやる」
「うるせえクソネクタイ!今の俺に同情なんざいらねえんだ…!」
俺の帰りを楽しみに待っててくれていた夏が、それを見てしまった。見られてしまった。
それからこじれて喧嘩になったのだ。
「はあ…」
ため息が止まらない。久しぶりのメランコリックってやつだ。
両手に触れるギターをいじり、漏れた音は黄昏れているようなしょぼくれた音だった。
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星が浮気をしていないのは、分かっていた。格好良いから、声をかけられたのも分かっていた。
「うぅ…」
なのに、いざ間近で見ると耐えられなくて、自分でも子供だと思う。
今更後悔の念に襲われ、面前に広がる川に足を浸けながら水面を見た。映るのはゆらゆらと、歪んだ自分の顔。ゆらゆら、視界がが霞む。
「君に伝えるーっ!アイラブユー!アイラブユー!アイラブユウッ!」
馬鹿みたいな声がした。わたしの振り向いた先には…やっぱり彼がいた。そうだ、こんな目茶苦茶な歌詞で目茶苦茶に上手い歌を歌う人なんて星しかいない。
「…星」
「夏、こっち来い」
ギターを草の上に軽く置き、星は手を広げてわたしを招いた。わたしを甘やかしてくれる手。タバコの匂い。おしゃれな服。スポンジみたいなマスク。
ふらふら、何かを掴むように、わたしは星の胸に飛び込んだ。
「悪かったよ」
星のぶっきらぼうな声には、確かに優しさがあって。
「うん…」
「第一な!俺の彼女は夏だけだっつうの!」
知ってる、そんなわたしの言葉を聞いて星は笑った。くしゃくしゃわたしの頭を撫でてくれる大きな手が温かい。
「夏、今週末はどっか出掛けようぜ」
「星が何処かに連れていってくれるの?」
「おう!当たり前だろ!」
草の上に横たわったギターを勢いよく鳴らしながら、星はわたしの肩を抱く。
こうしているとさっきまで喧嘩していたのが馬鹿みたいになってきて、どうにも笑みが止まらず、わたしは星のマスクに小さなキスをした。
(ストロベリー星から発信中)
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本ッ当グダグダですねすみません!できたら書き直したいです切実に…(泣)
返品修正いつでも受け付けます!
今回は企画参加ありがとうございましたー!