2012/12/05 20:08
突然始まり突然終わる
ヒロイン名 鈴
北一出身→青城一年
原作沿い、青城戦のところ
あんまり絡んでない
「先生、及川さんを迎えに行ってきます」
「及川?あいつ…怪我が治ったのか。分かった、頼んだぞ」
先生の言葉にこくりと頷いて、体育館を出る。無駄に広い敷地内を小走りで駆け抜けてたどり着いたのは部室前。
目的のあの人を見つけるべく遠慮なしにドアを開けて見渡し始める。するとおもむろに肩を叩かれ、振り向くと同時に長い指が私の頬をつついた。随分、
「古典的なイタズラですね、及川さん」
「やっほー鈴ちゃん!」
「何でわざわざ迎えに来いメール寄越すんですか。一人で来てくださいよ」
「そうそう。久しぶりに鈴ちゃんのそういう嫌そうな顔が見たくてサ!じゃあ行こうか」
少し前に足を悪くした及川さんも、歩き方を見るにもう大丈夫みたいだ。憎たらしい笑みを浮かべて、いちご牛乳を弄びながら私の前を歩いている。
及川さんは、顔が良い。イケメンなのだ。中学時代、私の先輩も大分たぶらかされたと聞いた。生け簀かない男だ。
「そうだ、トビオちゃん育ってたー?」
「及川さんみたいに二年ぶり、とかならかなり成長して見えるんじゃないでしょうか?」
へえ、と楽しそうな声をあげた及川さんは投げたり受け止めたりしていたいちご牛乳を私の方へ前触れも無く投げた。ひやりとしたパックを慌てて受けとると凝結した滴が手を濡らす。
「楽しみだなあ。トビオちゃん、あー…あいつの嫌がる顔が早く見たいよ」
濡れた手を、制服の上に羽織った青城のジャージで拭いていた私は、そうぼやく及川さんの輝かしい嬉々とした表情に鳥肌を立たせた。影山君、逃げて。
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