2012/10/24 22:59
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突然始まって突然終わります
自分の不注意でぶつかってしまった黄瀬は慌てて振り向く。顔を見て謝罪をしようと口を開くが、目の前の表情に自然と口をつぐませた。
きっとつり上がった切れ長の目と、つやつや光る黒髪を持った少女を見る。
よく見れば、海常の制服の上に男バスのジャージを羽織っている。先輩だろうか?と思い、黄瀬は思い切り頭を下げた。アップ中の体育館に大きな謝罪が響く。
今、周りに一年生はいない。
バスケの推薦で入学した黄瀬のみが唯一入学前に練習に参加している一年なのだ。誰も助けてくれる人はいない。
目の前の少女はかなりこちらを睨んでいた。不安が募っていく。
「こら、いきなり人を睨んだら駄目だろ」
「…っ」
「悪いな」
突然、少女の目が大きな手に覆われた。黄瀬に微笑を見せながら、一言謝罪したのはレギュラーの森山である。
「え、と。森山先輩…っスよね?そちらはマネージャーさんっスか?すいませんでした」
「ああ、こっちこそ悪かったな。すごい人見知りなだけだから、気にしないで。
ちなみにこいつも一年。仲良くしろよ」
ばしっ、と森山は黄瀬の肩を叩いてアップに戻っていった。残された少女は、黄瀬を見ると少し体を震わせ、ごめんなさい、と鈴のような声を絞り出す。
黄瀬が何を返す前に、彼女はすぐに近くにいた笠松の元へ走っていってしまった。
「…?」
「あれ俺の妹。愛想は悪いけど可愛いでしょ」
「っ!森山先輩!?」
+++
っていう話を考えてました。
別に目付きが悪い訳じゃなく、元々少しつり目で、知らない人を見ると警戒して睨んじゃう系ヒロイン。
森山さんちのコミュ障美人妹。
楽しかったからいつか続き書きたいな!
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