ぺたぺたと足音を立てながら先ほど扉をみたという高畑くんにみんながついていく。ふいに秋元さんが天谷くんをじろりと見ながら話しかけた。

「ねえ天谷あんた地下にいたんじゃなかったの、何でここに」
「うめちゃんがここまで案内してくれたんだ」
「ちょ、なんでうめちゃんまで地下にいたのよ」

勢いよくばっとこちらに顔を向けてきた秋元さん。おずおずとわたしの経緯をはなした。こけしにされたこと、それを天谷くんに助けてもらったこと。やっとのことでみんなの病室の階までこれたこと。

「大変だったのねうめちゃんって、あっ私ったらごめんねさっきから勝手に名前で呼んじゃって」
「いいのいいの!むしろ名前でよんでほしい、な」
「あっじゃあ私のこともいちかって呼んでね」
「…っいちか、ちゃん」
「ずっと話してみたいと思ったんだよね…体育館のあれ、ありがとう」

照れくさそうに笑う彼女はすごくかわいかった。わたしだってお礼いいたいよ、いちかちゃんの行動みて勇気でたんだから。えへへと二人で笑いあい空気が和んだ。そんな他愛のない会話をしている間にわたしたちは扉の下まできてしまった。



「よし入った」
奥くんという筋肉質な男の人に肩車してもらった高畑くんは鍵を扉にはめ込む。するとぎこぎこという機械音と共にゆっくりと扉が開いた。同時にロープが扉の中から垂れてくる。なにこの変なロープと高畑が不審がりながらもロープをつかむと勢いよく上に引っ張られていった。それに続けと回りのみんなもロープをつかむ。これで外に出られるなんてみんなが希望を持っているだろう。けれどもわたしはそんな気微塵も感じれなかった。