「まぶし、い」
目を開くと真っ白な天井、横をみても白い壁。どうやらここは病室みたい。わたしなんでこんなとこにいるんだろう。


つい先ほどまで繰り広げていた恐ろしい出来事を思い出しはっとする。天谷くんはどうしたんだろう。それに高畑くんは、秋元さんは、みんなどうなっちゃったの。そんなことを考えながら急いで病室を飛び出した。

「…っ、」
廊下には大量の死体。手足をバラバラにされていたり下半身が消えていたりして見ていられない。隣の病室を覗いてみたら女の子が頭をつぶされ死んでいた。顔がないから誰だかなんてわかんない、もしかしたら秋元さんかもしれない。こわい、こわい。

「ひとりは嫌だよ」
だるまさんが転んだで味わった一人だけ生還。もう絶対に嫌だ。じわりと目頭が熱くなる。その時、後ろから「おまえひとりか」と声がした。嬉しくなってちいさな希望を持ちばっと振り向いたわたしの心は絶望に変わった。


「ともだち、いないか」
胸にえんがちょと書いてあるこの怖い大きなこけしが私の前に立った。わたしは、ひっと小さく悲鳴をあげてこけしを見上げる。するとこけしはさらに大声を張り上げた。

「ならともだちにしてやる」
「っやだ」
こけしの手から糸のようなものがでてきてしゅるしゅると私に巻きついた。叫んでも誰もいない。ついには首にも糸が巻かれどんどん息が苦しくなる。こけしは相変わらずこわい顔をしながら今日から仲間だ、そう繰り返して。誰が仲間になるか。ああもう息できない。


死にたくないなあ。