Q.将来の夢は何ですか

A.分かりません。



はあ、とため息を1つ零して重い足取りで池袋の中をぐるぐる。HRが終わった後、私は担任に呼ばれプリントを返された。真面目に書きなさいだって。だって仕方ないじゃん。

将来の夢とかわかんない。
でも正直ね、やりたいことはたくさんあるよ。お寿司お腹いっぱい食べたいから、サイモンさんのところで板前やってもいいし、幽さんを追うカメラマンとかインタビュアーになってもいい、はたまたどこぞの情報屋さんの世話係もいいな。あそこ給料高いらしいし。お金あったら新しい服ほしいし、ケーキ食べたい。あ、将来と関係ない事考えちゃった。



「で、いい考えありますか」
「適当でいいんじゃねぇか」
「真剣に考えてくださいよ」

偶然、南池袋公園で休憩をとっていた静雄さんに遭遇。夢について相談してみましたが、静雄さんは野良犬と戯れていて全然相談を受けてくれないご様子です。

「もー静雄さん」
「ああ、わかった。ちゃんと聞くから。で…何したいのか例あげてみろよ。そこから選ぶ」

「例あげろって…それが難しいのに。うーん、コスメショップの店員とか、ファッションデザイナーもいいですね。カフェ開いたりとか…は難しそう。あとたくさん映画も観たいし、あとは、そうですね…結婚式挙げたい、かな。純白のウエディングドレスを着て。指輪の交換とかも。あ、あと子ども!子ども欲しいです…ってまた話ずれちゃった」


沈黙。
……………え?あれ?いきなり静雄さんが難しい顔しながら何か考えはじめたぞ。ていうか、あ、れ、もしかして、怒って、る?まじめに話聞いてくれたのに、わたしが変なこと言ったから?やばい、早く謝らな「…おい」「はいいいいい!」いきなり喋んないでよ。心臓に悪………い、


「まあ、なんだ…俺の嫁って書いとけ」



Q.将来の夢は何ですか

A.平和島静雄のお嫁さん。


(え、駄目?いや書き直しなんてしませんよ、これ私の人生ですし)


110711