※少し鬱
※本名注意(ウルビダ→八神 レアン→蓮池)
俺はある人々の幸せをぶち壊したのだろうか。
「ヒロトは幸せだった?」
夕食のカレーを美味しそうに口に入れるヒロトに問うと、ヒロトは首を傾げた。
「それはいつの話?」
「エイリアの時」
ヒロトは口についたカレーを指で拭うとにっこり笑った。
「今の方が、俺は基山ヒロトでいれるから、幸せだよ。」
とてもじゃないがヒロトは嘘をいっているようには見えなかった。
「お前らは幸せだった?」
韓国との対戦を終えて彼らに聞いた。二人は暫く無言だったが、小さく首を振った。
「サッカーが楽しくなかったよ」
涼野は吹っ切れた様な顔でそう言って、タオルで首の汗を拭いた。
「俺も」
南雲は小さく笑った。本当に小さくて、じっくり見ていなかったら分からなかった。
「でも、」
不意に南雲が口を開く。酷く悲しそうな顔をしていた。
「あの頃の方が、目標があったな」
今はないのか、そう聞くと、少し間があって、南雲は首を振った。
「明確な目標だ、今は漠然としてる」
お前らは世界に勝てよ、そう言った南雲は今にも泣き出しそうだった。
「緑川は幸せだった?」
ランニングの最中緑川にそう言うと、緑川は困った様に笑った。
「ううん、どうだろう」
緑川は足を休めずずっと前を見ていた。俺は視界に入っていないように思えた。
「あの頃はただ慕える人がいたから」
緑川はまだ前を見ていた。ただ、口元には笑顔が浮かんでいた。
「八神は幸せだった?」
応援に来ていた八神に聞くと、八神は不機嫌そうに眉を潜めた。
「そうだな」
声もいつもより低い。八神は、俺の目をじっと見ている。
「何も知らなかったからな」
八神はそう言うと、お前が悪い訳ではないのにな、と呟いた。
「蓮池は幸せだった?」
同じく応援に来ていたらしい蓮池に聞くと、蓮池は少し潤んだ目で言った。
「何も聞かないで」
気丈な性格が嘘のようだった。蓮池は一度として俺と目を合わせようとはしてくれなかった。
あの計画が終わったことで幸せになった人々は、俺が幸せをぶち壊した人々よりも遥かに多い。でもそれが何だって言うんだ、俺は幸せを壊したじゃないか。知らなければよかったものを知らせてしまったのだ。
「俺は、」
何も知らなかった時の彼等を考える。今の方がいいと言った奴らも、本当は少し、昔のことを考えるに違いない。
「俺は、」
あの時俺はあいつらを倒すことばかり考えていた。あいつらがどう思っているかなんて考えていなかった。
「俺は」
どうすればよかったんだろうね?
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エイリア×円堂にしようと思ったのに\^o^/
補足:一部の子達は円堂は悪くないと思いつつも割り切れなかったり。逆にまた一部は「ありがとう!」という感じ。他の子達は「今もいいけど昔もちょっと…」の様な。
補足がないと分からんっていう^^