「なあマルコ」
「何だ」
「…すごいな」
「…ああ」
俺がそう呟くと、ジャンルカも小さく頷いた。今、俺らの前には、ポストから溢れて出している、フィディオ宛の呪いの手紙が多くある。

「ああ、また?」
手紙のことを言うと、フィディオはケロリと笑った。それもそうだ。この手紙が届いたのはこれで一週間目だ。
「飽きないなあ彼等も」
フィディオがそう呟き、手紙をくしゃくしゃにしてごみ箱に捨てた。顔はいつも通りのにこにこ顔だ。
「あ、そうだっ!」
そうフィディオがわざとらしく声を上げ、俺をちらりと見てから革製の手帳を広げた。
「今日デートだから、よろしくね」
よろしくね、というのは、監督に何か聞かれても適当に言い訳してくれということだ。それに、こいつはデートを自慢したいらしい。フィディオがにやりと笑うのを見て少し腹が立った。
「お前なあ…」
あんな手紙貰っておいてよく平気だなと思うと、心を見透かされた様なタイミングでフィディオが笑った。
「恋はつきものが多いから」
付き物と憑き物、どちらの意かは怖くて分からないわけですが。




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