!パラレル
!同じ学校


吹雪、といえば俺の学校ではちょっとした有名人だ。まず、物凄く美人。すっと通った鼻筋にピンクのふっくらした唇と大きなパッチリおめめ。少し太めの眉がまた愛嬌があって、ふさふさの睫毛とぴったりだ。それからスタイルもいい。長い足には程よく肉がついていて、胸もちょうどいい位に大きい。頭もいいし気立てもいいらしく、向かうところ敵なしといったような完璧な人間だった。まあクラスも違うし、俺の様な、鬼道曰く「サッカー馬鹿」でただ胸がでかいだけ(邪魔なだけだが)で頭の良いとは言えない奴とは付き合いもなく、たまにクラスに来て女子と話している所を見る程度のものだった。その女子の会話にも、吹雪がいるため入りにくく、遠くから見ているだけだったが。

放課後。部活の最中、ジャージを教室に忘れたことに気がつき、俺は部活を抜けた。もう日は少し傾いていて、窓にオレンジ色が反射している。階段を上がり廊下に踏み入れると、吹雪が誰かに「またね」と明るく挨拶しているのが見えた。振り返った吹雪はこちら側に歩いてくる。相変わらず可愛いな、なんて思いつつ横通り過ぎようとした時だ。
「円堂…さん?」
透き通る様な綺麗な声だった。吹雪は俺を見るとにっこり笑った。
「練習、頑張ってるね」
そう言って吹雪が俺の目を見る。ありがとう、と言うと吹雪はまた先ほどと同じ風に笑った。
「私、ずっと円堂さんとお話したかったんだ。」
吹雪はそう言って、整ったスカートのプリーツをきゅっと握った。夕暮れだからか何だか知らないが、吹雪の顔が少し赤く見える。
「円堂さんのクラスに行ってみたり、円堂さんのお友達と色々お話してみたけど、どうにもならないし。」
俺の頭は混乱していた。俺の為にクラスに行った?友達と話をした?ちょっと言ってる意味分かんないッスね。
「もう、言っちゃうね」
吹雪は俺の手を優しく握って、恥ずかしそうに目を伏せた。俺の頭は変わらず混乱しているが、吹雪の手の温かさで何とかなっている状態だ。
「円堂さんのこと、私、好きなんだ。」

多分今日のことは俺の人生の中で起きる事件のTOP3に入るだろうな、と吹雪の手を見ながらぼんやり思った。


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