後二年、せめて一年早く生まれていたらなんて考えたことはない。第一そんな風に思ったってそれはあくまで妄想だ。自分はこの歳に生まれたことを嫌だとは思っていないし、学校などでもこの歳だから出会えた友人達がいる。それに結局は彼に出会えた。
「成るように成る、っていうところでしょうか。」
そう呟くと、キャプテンは少し首を傾げた後困った様に笑った。
「なかなか虎丸は知的だなあ」
キャプテンがからから笑う。その声が好き。もっとよく聞き入ろうとして目を閉じる。裏に何の含みもない、耳障りのいい笑い声だ。
「サッカー、楽しいですね」
「だな」
キャプテンはそう言うと目を細めてグラウンドを見回した。土に太陽の光が当たってきらきらしている。
「最近サッカーが一段と楽しくなったんです」
キャプテンのおかげですと付け加えると、キャプテンは首を振った。
「皆のおかげだ」
キャプテンがこちらを見る。その真っすぐな目が好きで、きゅっと引き締めた唇が好きだ。
「頑張ろうな」
キャプテンは俺の肩を叩いて、どこかへ走っていった。その靴の足跡を見つめて、彼の遠くなっていく背中を見つめる。華奢で小さいのにとても頼もしく見える。もしもう少し早くに生まれたとして、自分は彼の横に立てただろうか。あの背中を任せてもらえるだろうか。そんなことを考えていたら、今すぐキャプテンに何か言ってしまいたくなった。


(恋を、しましょうよ)



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