※なんか変な二人
ガタン、ゴトン
電車が揺れるのに合わせて僕の体も揺れる。窓から入ってくる温かな陽射しを見た瞬間、自分は何故ここにいるのだろうと思った。
「ここは、どこ?」
ガタンゴトン、ガタンゴトン。外の景色を見るが、全く知らない景色だ。黄色や赤の、秋色の山が続くばかりである。何故自分がこんなところにいるか分からない。記憶喪失、というものだろうか。
「夢だよ」
ふと聞き慣れた声がした。その方向に勢いよく顔を向ける。長椅子の端っこに、表情のないキャプテンが縮こまる様に座っていた。
「これは、夢だ。」
ガタンゴトン、僕とキャプテンの体が揺れる。頬をぐいっと引っ張ると、ちっとも痛くなかった。
「リアルな夢だなあ」
ぽつりと小さく呟く。キャプテンはにこりともしないで、窓の外の景色に目をやっていた。
「吹雪」
不意にキャプテンが呟く。何、と返事をすると、キャプテンがちらりと目線をこちらに向けた。
「夢って、はっきりした科学的説明があんまり出来ないらしいぜ。」
キャプテンが少し頭の良さそうな言葉を言う。そう思ったことが顔に出たのだろうか、キャプテンはむっすりと顔を歪めていた。
「でも、昔の日本では『夢に人が出てくるのは、その出てきた人が自分を好きだから』て言われてたんだってさ。」
ぱっ
そう言った直後キャプテンが消えた。消える間際のキャプテンの顔は、トマトみたいに真っ赤だった。
「そっかあ」
じゃあ今頃、僕はキャプテンの夢の中にお邪魔しているのだろうか。さっきの話が本当なら、だけれど。
ぱっ