※数年後

「なあ、結婚しないか?」

俺は、守と結婚するのが14歳からの夢だった。守はサッカーが上手くて優しくて格好良くて可愛くて、ずっと憧れていた。彼女と付き合いだしたのが3年前、18歳の時。それまで俺の気持ちは全然知らなかったらしく、守の方から男前に「好きだぜ!」と言われた。イタリア男のアプローチに気付かなかったなんて、守、恐ろしい子…!そして恋人関係が始まってから、守の格好良さにときめき、時に守をナンパしようとするジャンルカの脳天を蹴…いやジャンルカを注意する日々が続いていた。そんな、ある日のことだった。

「守、何?話って。」
俺はプロのサッカー選手になっていて、守は小学生のサッカーのコーチをしていた。最近お互い忙しくて連絡が余り取れず、用がある時はメールをすることにしていた。本当は一緒に食事に行ったりどうでもいいことを話したり愛を囁いたりしたいのだが、そうもいかない位忙しい。そんな時に、守から「出来たら電話して」とメールが入ったのだ。その時俺は監督と話が揉めてイライラしていたので、イタリア男として失格だが、少し冷たい口調で電話口の円堂にそう言った。
そこで、冒頭に戻る。
余談だが俺はこの半年内に守にプロポーズしようと考えていて、指輪を注文して、高級レストランの予約を取らなければと思っていたところだった。
「…え?」
素っ頓狂な声が出た。守は黙ったまま何も言わない。
「結婚…?」
「うん。しないか?」
明朗でハキハキした守の声が聞こえる。俺の頭は一瞬フリーズした後、真っ白になった。
「え、何でいきなり、」
「……。」
守は言おうか言うまいか悩んでいる様子だったが、観念したように話し始めた。
「最近さ、会えてないだろ。」
「うん。」
「……フィディオにはいっぱいファンがいて、嫉妬しちゃうんだ。」
「そう、なの?」
守の声は先ほどと違って、照れているのか不機嫌なのか、よく分からない声だった。
「つまり、」
「うん」
「…結婚したら一緒に住めるから、毎日会えるだろ。」
………………ううん?
「それってさ、」
今度は俺が口を開ける。守は、また何も言わない。
「寂しいってこと?」
数秒間沈黙が流れる。それから、電話口の向こうで深呼吸する音が聞こえた。
「そうだよ!」
吹っ切れたらしい守の声が聞こえる。と、同時に、胸の奥が熱くなる感じがした。
「結婚しよう、守!」

ロマンチックのかけらも無くて、男前で、でも照れ屋で、可愛い守が大好きだ!


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恥ずかしい\^o^/




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