ごほごほ、咳をしてみる。病弱だったのは昔の話であって今はサッカーが出来る程度に健康体だ。嘘くさい咳を繰り返すと、何だか本当に自分が病気の様な気がしてきた。
「また病気か?」
晴矢が何でもないように言う。わざと出す咳だと、彼は分かっているのだ。小さく頷く。
「恋の病」
「言っとけ」
晴矢は口元だけで小さく笑うと、携帯ゲーム機の電源を点けた。俺と晴矢しかいない空間には、それぞれの呼吸音と、ゲームの軽快なBGMしか聞こえない。
「って、本当なのに」
晴矢はもう返事さえしてくれなかった。酷い幼なじみである。机の上に適当に転がっていた鉛筆を取って、メモに文字を連ねていく。
「てれるなこれ。厚石守…なんちゃって。」
「気持ち悪っ」
晴矢は無表情でそう呟いた。精神攻撃だ、さすが宇宙人役を完璧にこなしただけの器を持った男である。
「やだ?じゃあ円堂茂人?」
「気持ち悪っ」
今度は晴矢の眉が少し吊り上がった。俺の花嫁姿でも想像したんだろうか、……確かに余り気分のいいものではない。
「つめが甘かったかなあ、あのアプローチ」
「つめも何も、してる風には見えなかった。」
そう言われてハッとした。俺のアプローチと言えば自己紹介したくらいで、ぬるいにも程がある。俺、格好悪っ!

「はーあ…」

(上手くいかないのね、)


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ヒートの台詞だけ地味に縦読み
本当に地味^O^



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